コロイド・界面とそのダイナミクス

Grahamが提唱したコロイドの科学はその特徴を担う界面の構造や物性の研究とともに発展してきました。材料のあるところには必ず表面があり、それが相を二分することによって界面が生じることから、さまざまな学術領域の視点からコロイド・界面化学が発展し、材料開発とその物性測定法が両輪となって発展してきたといっても過言ではありません。界面物性を左右する1〜100 nm のサイズを有する材料や相界面は1915 年にOstwaldをして「見過ごされた次元の世界」とされて以来、測定法の発展とともに極めて詳細に知られるようになり、100年を経た現在では汎用性の高い測定機器やそれを用いた詳細な研究が次々に進められています。一方、時間的に変化するコロイド系の反応、界面の移動、スピノーダル分解による構造を有する界面の構築、さらにそれらの特徴ある反応系など、経時的・動的な挙動を観察する方法は時間分解能の向上とともに発展の途上にあり、計算化学の発展によるシミュレーションとの併用により、新たなコロイド化学の潮流が現れつつあります。
第68回討論会では、「コロイド・界面とそのダイナミクス」を主題として取り上げコロイド・界面の動的挙動・反応に関わる多くの一般シンポジウムと部会員を中心とする参加者の最新の研究成果をもとに論じたいと考えています。部会員の積極的な討論へのご参加を期待しております。

第68回コロイドおよび界面化学討論会実行委員長
神戸大学大学院工学研究科教授
水畑 穣


催事内容

1. アカデミックプログラム
■総合講演 於:神戸大学出光佐三記念六甲台講堂

 2S32
 9月7日(木) 14:10-15:10

固液界面の構造制御、観察および機能―電気化学への展開を中心に
               物質・材料研究機構 フェロー 魚崎 浩平 氏

 2S49  9月7日(木) 17:00-18:00
学習指導要領の変遷と失われた日本の研究開発力
   
神戸大学社会システムイノベーションセンター 特命教授 西村 和雄 氏

    

■Lectureship Award 受賞講演
受賞者および受賞理由については こちら をご覧下さい。
 2S38  9月7日(木) 15:10-16:00
Colloid and Surface Chemistry for the Conservation of Cultural Heritage
             
University of Florence 教授 Piero Baglioni 氏
 2S44  9月7日(木) 16:10-17:00
Reconstitution of Motor Protein in Assembled Microcapsules
                中国科学院 教授 Junbai Li(李 峻柏)氏
  

■奨励賞受賞講演
 受賞者および受賞理由については こちら をご覧下さい。
科学奨励賞
 3B15  9月8日(金) 11:20-11:50  於:B会場
環状高分子を利用した新奇機能性ソフトマテリアルの開発
                    
北海道大学 准教授 山本 拓矢 氏
 2A15  9月8日(木) 11:20-11:50  於:B会場
界面における分子・分子集合体の動的構造制御と機能
              
物質・材料研究機構 主任研究員 中西 和嘉 氏
  
技術奨励賞
 1B15  9月6日(水) 11:20-11:50  於:B会場
界面活性剤が形成する分子集合体の溶液構造解析による高機能性複合材料の創製」
                 
ライオン(株)副主任研究員 小倉 卓 氏

■一般研究発表(口頭・ポスター)

 
セッションタイトルの記載の誤りについて(5/31附記)
本HPおよびニュースレター第2号の記事中のセッション4-6のセッション名にミスがありましたので訂正いたしました。なお、
講演申込Webサイトでの記載には誤りはありません 。但し、すでに申込を済まされた方で確認・修正が必要な場合は6/9まで申込Webサイトの方で確認 の上、必要に応じて修正をしていただけるようにいたしましたのでお確かめ下さい。ご迷惑をおかけしましたことお詫び申し上げます。

1. 総合セッション
下記の分類にとらわれず、コロイドおよび界面化学に関するどんな研究でも発表でも発表でき、分野間での交流を図ることができます。
2. 分子集合体の科学と技術
(1)界面活性剤(合成・溶液物性・相挙動など)
(2)エマルション
(3)超分子・高次分子集合体
(4)ゲル
(5)高分子溶液
(6)生体超分子
(7)その他
3. 組織化膜の科学と技術
(1)単分子膜・LB 膜
(2)自己組織化膜
(3)二分子膜(ベシクル・リポソームなど)
(4)界面物性(気-液・液-液)
(5)バイオインターフェース
(6)その他
4. 微粒子とその分散系の科学(5/30訂正)
(1)コロイド
(2)サスペンション
(3)微粒子・ナノ粒子の理論
(4)微粒子・ナノ粒子の合成
(5)高分子コロイド
(6)界面電気現象
(7)レオロジー
(8)その他
5. 微粒子とその分散系の技術と応用(5/30訂正)
(1)濃厚分散系
(2)微粒子・ナノ粒子の製造
(3)微粒子・ナノ粒子の物性・機能
(4)微粒子・ナノ粒子の応用・実用化
(5)材料としての微粒子・ナノ粒子
(6)バイオコロイド
(7)その他
6. 固体表面・界面の科学と技術(5/30訂正)
(1)固体表面構造と物性・機能
(2)吸着と触媒
(3)表面力・トライボロジー・走査プローブ顕微鏡
(4)散乱・回折・分光法
(5) マイクロファブリケーションとナノテクノロジー
(6)その他
7. 応用・開発セッション
(1)企業開発研究(製品配布可)
(2)アカデミアにおける応用研究


■一般シンポジウム
一般シンポジウムは、本討論会における発表討論および周辺分野との研究交流をより活発にするために、公募により企画された特定テーマに関する話題を展開するものです。本討論会の発展に資する新しい方向の個性的なテーマ企画を用意しております。一部のシンポジウムにおいては一般の研究発表も可能ですので、積極的にご参加下さい。

1. ソフトマター界面の基礎科学(第2 弾)(企画講演のみ)
提案者:小倉 卓(ライオン)・佐藤高彰(信州大)
溶液中で両親媒性分子や蛋白質の会合構造の振る舞いは、溶媒和や対イオンの存在状態に大きく寄与し、その分子会合構造特有の界面現象として解釈することができる。今回、これら界面に存在する水の状態や対イオンの揺らぎについて注目し、溶液中での会合構造状態をより深く理解できる新たな視点を物理化学的視点から活発に議論したい。本企画では、本分野において独自の研究を展開している研究者が一堂に会し情報交換を行う場を提供することで、界面現象の解明や新機能開発において新たな展開を切り拓くきっかけとなることを目指す。

2. 分子シミュレーションとコロイド化学(企画講演・一般講演)
提案者:山本雅博(甲南大)
コロイド部会で主題となるミセルのサイズは、分子集合体としては通常の顕微鏡では観測出来ないほど小さいものであるが、逆に分子シミュレーションの世界では、回りの水・溶媒分子も含めて計算しなくてはならないため分子の数は非常に多い系を考慮しなくてはならない。京コンピュータに代表されるように、最近の大規模計算ではこれらの系がハンドリング可能となりコロイド・界面化学者に極めて興味あるシミュレーションも少なくない。本シンポジウムでは、現在の最先端のシミュレーションとコロイド実験化学の間の橋渡しをめざして開催するものである。

3. マイクロエマルションを反応場とする新たなサイエンスの創成(企画講演のみ)
提案者:西見大成(人工光合成化学プロセス技術研究組合)・村越 敬(北大)
両連続マイクロエマルションや固-液-液三相界面を反応場としたコロイド界面化学は、従来の枠組みを超え、高分子化学・電気化学・分析化学・エネルギー化学等、幅広い分野への展開が進んでいる。本シンポジウムでは、これらの分野において独自の研究を展開している研究者が一堂に会し、そのコンセプトと最先端の研究成果を発表することを通して、新たな展開を切り拓くきっかけとなることを目指す。

4. 粒子分散系がつくる新しい基礎科学と応用技術(企画講演・一般講演)
提案者:米澤 徹(北大)・武田真一(武田コロイドテクノ)
ナノ〜ミクロンオーダーの粒子、コロイドやスラリーの液中への分散挙動とその界面で起こる現象についての学理とその応用について議論する。特にコロイドやスラリー中の粒子に着目した分散・凝集のメカニズムを考えるとともに、界面活性剤や両親媒性分子、高分子などを用いた界面物性の制御方法について知る。さらにはこれらの応用について全体を俯瞰する。このシンポジウムを通じ、粒子分散系の新しい学理と理解し、応用展開をはかる。

5. 信州発!異分野をつなぐコロイド・界面科学(企画講演のみ)
提案者:酒井俊郎(信州大)・金山直樹(信州大)
信州大学にはコロイドおよび界面化学に関係する研究者が多く、例年、多くの研究者が討論会に参加されています。一方で、他分野においてコロイドおよび界面化学に関係する研究をされている研究者も数多くいます。そこで、本シンポジウムでは、信州大学内でコロイドおよび界面化学に関係する研究をされており、他分野で活躍されている研究者をお招きして、参加者の皆様と話題を共有する場としたい。

6. 界面吸着の熱力学とその研究展開(企画講演・一般講演)
提案者:瀧上隆智(九大)・松原弘樹(九大)
界面吸着膜の研究には大きく分けて、界面張力から熱力学的に情報を引き出す「界面熱力学」と、分光学的に界面を直接観察、構造解析する「界面構造化学」の二つのアプローチがある。界面吸着膜は、泡、エマルション、生体膜などコロイド化学の主要な研究対象の基本骨格であるが、これらを物理化学的に理解するには静的、動的両側面において界面状態を正確に把握することが極めて重要である。本シンポジムでは、このような立場から上記研究課題に新しい可能性を切り拓きつつある最先端の事例について議論する。

7. 固体なのにゲル状態?αゲルの謎に迫る研究最前線(企画講演・一般講演)
提案者:山下裕司(千葉科学大)・酒井健一(東京理科大)
αゲルは準安定状態であり、熱力学的には不安定な状態にもかかわらず古くから様々な工業製品に利用されている。ユニークな感触や高い水分保持能、乳化安定化作用を有することから、近年でもαゲルに関する研究報告や応用技術が散見される。本企画では、未だ論争の絶えない非平衡系の学術領域であるαゲルに着目し、その形成機構や物理化学的特性、さらにαゲルを用いた応用技術の理解をめざす。


■学生対象イベント                     ↓ここをクリック!
「キャリ探セッション2017 〜聞いてみよう!仕事のリアル、見つけよう!未来のジブン〜」  申込を延長しました(8/25まで)
 詳細は右パンフをクリックしてご参照下さい。
 参加希望者は こちら からお申し込み下さい。(定員60名)
 
日程:9 月6 日(水) 17:30〜20:30
場所:鶴甲第1キャンパス(主会場)内にて講演会を行った後、神戸大学生協国際人間科学部(旧・国際文化学部)食堂・多目的ホールに移動してグループセッションを行います。
「キャリ探セッション」は、企業・大学の第一線で活躍している方々のリアルな言葉を聞くことで、学生の皆さんが今後のキャリアを「探求」するステップとなるよう企画されたイベントです。今年は、出口茂先生(海洋研究開発機構)、加賀谷真理子先生( 花王株式会社)を講師にお迎えした講演会と、企業研究者等との気楽な雰囲気でのグループトークの二部構成で行います。学会初日の夜を、未来のジブンに出会う3 時間にしてみよう!



■若手研究者・大学院生対象イベント
 第5 回「未来のコロイドおよび界面化学を創る若手討論会」

 詳細は こちら をご覧下さい。申込を延長しました(8/25まで)
 
日程:9 月5 日(火)14 時〜
 場所:甲南大学 平生記念セミナーハウス
コロイド・界面化学分野の将来を担う若手研究者の育成・活性化を目指し、参加型のセミナーを開催します。部会奨励賞受賞者・技術賞受賞者をはじめとする注目の若手研究者から最先端の成果や研究秘話をお聞きしたり、コロイド化学の各分野にわたる同世代の研究者、大学院生と打ち解けた雰囲気でディスカッションできるグループ討論会、交流会を企画しています。参加費:学生3500 円、一般6500 円。


講演(一般研究発表・一般シンポジウム)の申込について

■発表形式
本討論会では一般シンポジウムと一般研究発表での講演を募集します。形式は「口頭発表」と「ポスター発表」のいずれかです。プログラム編成の都合上、発表形式(口頭/ポスター)や発表セッションおよびセッション分類の変更をお願いすることがあります。
■発表時間
一般研究発表および国際シンポジウムでの口頭発表時間は、一般講演では20 分(発表12 分+討論8 分)、依頼講演では30 分(発表20 分+討論10 分)の予定です。
■発表機材
口頭発表には液晶プロジェクターを用意します。パソコンは各自ご持参ください。 接続・ファイルのトラブルによるプログラムの変更は行うことができませんので、事前に接続の確認を行うようにお願いします。パソコンのトラブルに備えて発表のファイル (Microsoft PowerPointTM またはPDFファイル)をUSB メモリー等に入れてご持参ください。
* パソコンを持参できない場合は、あらかじめ実行委員会にお申し出ください。
■連続発表
同一研究室からの複数の発表について連続した発表を希望される場合は、2 番目以降の講演の申込み時に、その講演の直前の講演の演題および第一発表者名を明記してください。ただし、ご希望にそえないこともありますので、あらかじめご了承ください。
■発表要旨の分量
* 講演要旨提出用テンプレートをご利用ください。
要旨は、総合講演、依頼講演、口頭発表およびポスター発表の形式に関係なく、いずれもA4 判1枚です。要旨原稿には英文の題目と数行程度の英文アブストラクトをつけてください。英語で口頭発表およびポスター発表をする場合、要旨は、全文英語でもかまいません。
* 講演要旨提出用テンプレートをご利用ください。
■発表者資格
依頼講演を除くシンポジウムおよび一般研究発表の発表者は、部会員、日本化学会会員または協賛学協会員(いずれも法人会員またはそれに相当する団体会員に所属する個人を含む)に限ります。 詳細はFAQをご覧下さい。学生であっても同様の条件を求めますのでご注意ください。 コロイドおよび界面化学部会への入会手続きについては、部会ホームページをご覧ください。


討論会委員会

委員長 酒井秀樹(東京理科大)  
委員 水畑 穣(神戸大)
秋田谷龍男(旭川医大)
飯村兼一(宇都宮大)
河合武司(東京理科大)
米澤 徹(北大)
安部 裕(ライオン)
足立泰久(筑波大)
秋山恵里(花王)
五十島健史(三菱化学)
井村知弘(産総研)
大場友則(千葉大)
景山元裕(ライオン)
川ア英也(関西大)
白幡直人(物材機構)
瀧上隆智(九大)
武田真一(武田コロイド)
橋詰峰雄(東京理科大)
藤森厚裕(埼玉大)
松井雅樹(神戸大)
松下祥子(東工大)
水上雅史(東北大)
吉村倫一(奈良女子大)


実行委員会

実行委員長 神戸大学 大学院工学研究科 水畑 穣*
実行委員 神戸大学 大学院工学研究科 西野 孝
 〃 神戸大学 大学院工学研究科 鈴木 洋
 〃 神戸大学 大学院工学研究科 南 秀人
 〃 神戸大学 大学院工学研究科 松井雅樹*
 〃 神戸大学 大学院工学研究科 北山雄己哉
 〃 神戸大学 大学院工学研究科 鈴木登代子
 〃 神戸大学 大学院工学研究科 日出間るり
 〃 神戸大学 大学院工学研究科 神尾英治
 〃 神戸大学 大学院工学研究科 牧 秀志
 〃 神戸大学 大学院理学研究科 大西 洋
 〃 甲南大学 フロンティアサイエンス学部 赤松謙祐
 〃 甲南大学 フロンティアサイエンス学部 鶴岡孝章
 〃 甲南大学 理工学部 山本雅博
 〃 甲南大学 理工学部 村上 良
 〃 大阪大学 大学院基礎工学研究科 今西哲士
 〃 京都大学 工学研究科 西 直哉
 〃 関西大学 化学生命工学部 宮田隆志
 〃 関西大学 化学生命工学部 川ア英也*
 〃 奈良女子大学 研究院自然科学系 吉村倫一*
 〃 大阪産業技術研究所 森ノ宮センター 懸橋理枝
*討論会委員を兼ねる


問合せ・連絡先

第68 回コロイドおよび界面化学討論会 実行委員長
水畑 穣(神戸大学工学研究科)

連絡先:講演・参加申込と支払いについてのお問い合わせ
    第68 回コロイド討論会・事務局:
    E-mail:dcsc@chemistry.or.jp
    TEL:03-3292-6163

     プログラムなど討論会に関するその他のお問い合わせ
     第68 回コロイド討論会・実行委員会
    E-mail: colloid2017@opal.kobe-u.ac.jp


©2017 コロイドおよび界面化学部会, Division of Colloid and Surface Chemistry, CSJ