公益社団法人日本化学会 : コロイドおよび界面化学部会

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部会長挨拶(2019-2020年度)

河合 武司
2019-2020年度部会長
東京理科大学工学部

<コロイド界面化学の将来>

この度,2019-2020年度の部会長を仰せつかりました.このような大役を務める能力は持ち合わせていませんが,3名の副部会長とともにチーム力で運営して行きたいと存じます.3名の副部会長の先生方は非常にバランスが良く,財務関係に強く,細かな気配りと根回しに長けたライオン(株)の安部裕様,学会運営の経験が豊富でどの委員会も完璧にこなされる東京理科大学の酒井秀樹先生,それと個性あふれるカリスマリーダータイプで,中堅・若手をぐいぐいと引っ張る行動力抜群な海洋研究開発機構の出口茂先生です.今後ますます本部会の活性化が重要な課題となりますので,皆様方のご支援を頂きながら,微力ではありますが本部会の発展のために尽力したいと存じます.

コロイドおよび界面化学部会は発足から40年以上の長き伝統を有し,現在,会員数1000名ほどで活動しております.コロイド界面化学は一般的には物理化学分野に分類されますが,部会員の専門分野は物理化学だけでなく,高分子,触媒化学,電気化学,化学工学,物理系のソフトマターなど多岐に渡っています.このように当部会は分野横断型の学際領域の研究集団であり,まさに「学問間のインターフェース」を担える組織体です.従いまして,多くの皆さまの研究テーマと当部会との接点があると思いますので,部会への入会をご検討頂けましたら幸いです.

当部会は様々な委員会を中心にして活動していますが,各委員会は大学・公的機関の研究者と企業の研究者とのバランスを取りながら組織しています.ここでは,当部会の特長の一つである「企業委員会」と「事業企画委員会」の活躍についてご紹介します.企業委員会ではコロイド界面の最新動向を学ぶ「コロイド・界面技術フォーラム」を企画しています.1泊2日の日程ですので,最新動向の理解を深めるだけでなく,講師の先生や参加者同士の親睦を深めることもできます.さらに,小学生高学年を対象とした「本物の理科体験学習−コロイド−」をコロイドおよび界面化学討論会の開催地で行っています.開催地は毎年違いますので準備が大変ですが,企業委員会委員のボランティア精神のおかげで「コロイド界面化学の普及活動」が継続できています.事業企画委員会(委員:50名以上)でも多くの企業の方に加わって頂き,「コロイド先端技術講座」や産業界向けの「コロイド・界面技術シンポジウム」などの多くのセミナーを企画して頂いています.さらに企業の若手社員を主な対象としたコロイド化学の基礎講座「界面コロイドラーニング」を東京と大阪の2会場で開催しています.

若手研究者の育成・活性化のためにいくつかの取り組みを積極的に行っています.例えば,若手ワーキンググループ(WG)では,「未来のコロイド界面化学を創る若手討論会」を開催し,最新研究の徹底討論を通じて視野を広めたり異分野間の人的交流を図っています.またWGが中心となって討論会における「若手口頭講演賞」の表彰も行っています.さらに会誌Colloid & Interface Communicationを年4回発行しておりますが,その中に「Interface」として最新研究の紹介記事があります.若手口頭講演賞の受賞内容を含めて記事の多くは若手研究者の研究紹介で,若手研究者のアピールの「場」を提供しています.

当部会では企業研究者や若手研究者の皆様が活躍できる「場」をいくつか設けております.またコロイドおよび界面化学分野で新しい科学・技術を作った,または作りつつある若手の研究者・技術者を称えるために科学奨励賞および技術奨励賞を設けておりますので,是非,当部会へ入会していろいろな「場」を有効に活用していただき,インターフェース領域の研究発展にご協力下さい.

2年間の重点課題としては2019年11月上旬に開催される第70回記念国際会議「Okinawa Colloids 2019」を成功裏に終わらせることです.実行委員長の出口先生を中心にプログラム編成や会場などの準備が着実に進められています.出口委員長の思いとしては「これから部会を支える中堅・若手と海外研究者(同世代)との交流強化」を主題の一つとされていますので,是非,最新の研究成果の発表を通して海外研究者との親睦を”沖縄”で深めて頂きたいと思います.また,本部会として最も重要な行事である討論会の登録システムの改良も重要な課題で,システムを刷新して討論会の実行委員会の負担減を図りたいと考えています.なお,2020年度の討論会は東北大学の蟹江澄志先生を実行委員長として9月14~16日(東北大学)で開催されますので,ご予定の程,どうぞ宜しくお願い申し上げます.

現在,表面・界面の重要性を多分野の研究者も認識しつつある状況で,様々な界面・表面の新現象を目の当たりにすることができる時代に突入したと思います.すなわち,本部会の活躍の場がますます広がりつつあります.最後に,Feynmanの言葉を借りて,”There’s plenty of room at the interface”で締めたいと思います.(2019.10)

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