公益社団法人日本化学会 : コロイドおよび界面化学部会

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部会長挨拶(平成27-28年度)

加藤直
平成27年-28年度部会長
首都大学東京大学院理工学研究科

加藤直部会長

平成27年度の日本化学会コロイドおよび界面化学部会長を拝命いたしました。まだ心の準備ができておらず,伝統ある部会の責任者になったことの重みを日ごとに感じ始めている次第です。幸い3名の副部会長はいずれも経験豊富な方々で,心強いことこの上ありません。これらの方々を始めとする役員,各種委員,および支部の方々と,部会員の皆様のご協力を得ながら部会の発展に尽力いたしますので,どうかよろしくお願い申し上げます。

昨年の部会ニュースレター(C & I Com. Vol. 39(3))に北原文雄先生が詳細に書かれているように,コロイドおよび界面化学部会は1976年に日本化学会の2番目の部会として発足しました。1976年は私が大学院修士課程に進学した年ですが,当時は分子分光学の研究室にいたため参加する学会は主として分子構造総合討論会であり,このような部会の存在すら知りませんでした。しかし,同じ1976年に定年退職された故佐々木恒孝先生の,演示実験を交えた魅力的な膠質化学の授業は,何度か聴講させていただいたこともあり,この分野への興味は持っておりました。分子研で助手を4年間務めた後,佐々木研を引き継がれた清宮先生に1984年に助手として採用していただき,その年に岩手大で開催された第37回コロイドおよび界面化学討論会に参加させていただきました。1989年から部会の事業企画委員会に加えていただき,2000年,2001年には基礎講座を担当いたしました。ある講師の先生の御母堂が講演の直前に亡くなられたため,急遽別の著名な先生に無理を承知でお願いしたところ快くお引き受けいただき,感謝感激したことは今でも忘れられません。2003〜2009年の6〜7年間は,学内外の業務が急増したため,部会運営から遠ざかってしまいました。この間の出来事の中には現在の運営に関係することもあり,その都度周囲の方々に状況を聞いて助けていただいている次第です。

部会発足の話に戻ると,当初はコロイド討論会の企画実施が中心だったものの,1979年に若手の会,1985年に「現代・コロイド界面化学基礎講座」が発足し,各地方支部も結成されて事業が拡大されていったとのことです。現在部会には,事業企画委員会,編集委員会,企業委員会,討論会委員会,財務委員会,広報委員会,賞選考委員会,国際交流委員会,若手ワーキンググループ,将来構想委員会,ディビジョン小委員会の11の委員会と,地方支部(関西・九州)があり,それぞれ活発な活動を行っています。先の「現代・コロイド界面化学基礎講座」は,「界面コロイドラーニング」として,東京と大阪でそれぞれ5月と6月に開催しており,昨年は第30回ということで,過去の講師の先生方をお招きして記念祝賀会を行いました。またかつての若手の会に相当するものとして,2007年に若手WGが発足し,2013年からは,学生と大学や企業の若手研究者を象とした合宿セミナー「未来のコロイドおよび界面化学を創る若手討論会」を,討論会最終日の夕方から翌日に行ってきました(今年は討論会の前々日〜前日)。若手対象の事業として,事業企画委員会の企画により2011年から始まった「キャリア探究哲学」は,学生を対象として討論会初日の夕方に開催さています。部会最大の行事であるコロイドおよび界面化学討論会は,今年で第66回を迎え,蔵脇淳一先生を委員長とする実行委員会により,鹿児島大学で開催されます。鹿児島での開催は1977年以来ですので,38年ぶりとなります。若手WGの提案により,従来のポスター賞に加えて,今回から「若手口頭講演賞」を設けることになりました。

事業企画委員会では,上記の企画と1月末に開催される技術シンポジウムに加え,秋に数回の先端技術講座・実用技術講座を企画しています。毎年新しい企画が生まれ,いずれも好評を博しています。編集委員会と広報委員会では,年4回のC & I Communnの発行と,「化学と工業」誌の「部会だより」「Divison Topics」の執筆者選定を行っています。企業委員会では,毎年7月の宿泊セミナー「コロイド・界面技術者フォーラム」とコロイド討論会前日の市民講座を開催しており,また10月のCSJ化学フェスタへの企画協力も行っています。討論会委員会は,来年以降のコロイド討論会の開催地選定,日本化学会春季年会におけるコロイド・界面化学セッションのプログラム編成(東京地区開催の場合)およびアジア国際シンポジウムの開催(数年に1回)を行っています。さらに関西支部と九州支部では,それぞれの地区で(講師は全国規模)独自のセミナーや講座を開催しています。これらの他,今年は事業企画委員会,企業委員会,討論会委員会,国際交流委員会の連携により,7月に中華民國界面化學學会と日台コロイド会議の開催を予定しています。また11月には,約2年おきに日本とオーストラリアで交互に開催されてきたジョイントミーティング(日豪シンポジウム)が,Western Pacific Colloids Meeting としてカンボジアで開催されます。

前々部会長の尾関先生は,25年1月の役員会において,「H26年度以降の組織および人事のあり方について」と題して新しい役員選出方法を提案されました。これに前部会長の荒殿先生が若干の修正を加えられ,26年度からは役員選出のための実施体制を整備されました。詳細は省略しますが,役員会により選出された次期役員候補者を部会員に示し,一般の部会員からも役員候補の推薦を募るという方法です。27年1月の役員会において,部会員からの推薦候補2名を含む新役員が決定され,その後副部会長および部会長が投票により選出されました。現在では,メールや文書等による投票で会長選挙を行っている学会は珍しくありませんが,部会では初めての試みであり,尾関先生と荒殿先生のご尽力の賜物です。ただし私に限って言えば,2年前の役員会で副部会長として指名いただいたときと同様心の準備ができておらず,周囲の方々にもご迷惑をおかけしております。荒殿先生が部会長になられたときに,副部会長を2名から3名とし,11の委員会を3名で分担して掌握する体制を作られましたので,継承させていただいています。

尾関先生が提案された文書には,提案の趣旨と目的が記されています。目的は,「情熱を持って部会の発展に貢献できる役員を発掘し,育て,機能する組織をつくる。そのための組織と人事のあり方を提案すること。」とあります。私は別として,副部会長を始めとする役員や委員の方々は,いずれもこの目的にふさわしい方々ですので,どうか皆様のご協力をお願い申し上げます。

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