公益社団法人日本化学会 : コロイドおよび界面化学部会

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令和8年度 科学奨励賞・技術奨励賞受賞者について 2026.05.12

日本化学会コロイドおよび界面化学部会の令和8年度部会奨励賞(科学奨励賞、技術奨励賞)の選考委員会が、令和8年1月22日に開催され、推薦された候補者について賞選考委員会において慎重に審査を行った結果、下記の方々が選出されました。また1月26日に行われた役員会において、受賞者として承認されました。

令和8年度 科学奨励賞受賞者

岡田洋平先生(東京農工大学)
根本文也先生(防衛大学校)

選考理由

岡田洋平先生は、東京農工大学大学院で博士の学位を取得された後、東京農工大学大学院および米国スタンフォード大学化学科の博士研究員、東京農工大学大学院の助教、准教授を経た後、2024年に教授に就任され、現在に至っております。
直径が10 nm以下の「シングルナノサイズ」の粒子を溶媒中に分散させる場合、ナノ粒子表面に吸着する官能基(吸着基)と有機鎖からなるリガンドと呼ばれる低分子の分散剤が有効に作用しますが、その構造と機能の相関については不明な点が多く、ナノマテリアル材料の設計・合成における大きな課題でした。岡田先生は、有機合成の手法によって独自のリガンドを設計・合成することで、構造機能相関についての研究を推進し、特にシングルナノサイズの金属酸化物のナノ粒子を対象に、材料ならびに溶媒に応じたオーダーメイドな分散技術を実現しています。また、疎水性のリガンドとして古くから用いられてきた脂肪酸について、植物油脂由来の不飽和脂肪酸ならびにこれらの誘導体が無機ナノ粒子を溶媒中に分散させるためのリガンドとして極めて有効であることを見出しました。特に、非水系(有機溶媒系)における現象を、合成化学の観点から研究されている点に岡田先生の研究の特長があります。それらの成果については、多くの優れた欧文誌に原著論文として発表されており、総説・解説としてもまとめられています。また、研究に対する周囲からの注目度は非常に高く、これまでに数多くの賞を受賞し、招待講演をされてきました。当部会のコロイドおよび界面化学討論会でも、積極的に参加・発表されています。
以上のように、岡田先生の独創的な研究内容と優れた業績は卓越したものであり、今後も当部会での活躍が期待されることから、科学奨励賞の受賞にふさわしいと判断されました。

根本文也先生は、京都大学大学院で博士の学位を取得された後、東京大学物性研究所および高エネルギー加速器研究機構の博士研究員、特別助教、特任助教、防衛大学校助教、講師を経て、2025年に准教授に就任され、現在に至ります。
根本先生は、界面・表面で生じる自己組織化現象を調べる手段として有用な、X 線・中性子反射率測定による構造解析を用い、 液晶中における界面活性剤の自己集合による液晶配向制御、およびずり流動場下での固体表面における界面活性剤集合構造の解析において、顕著な成果を挙げておられます。前者の研究では、中性子反射率測定と顕微鏡観察を組み合わせ、界面活性剤分子の配向が濃度によって大きく変化することを明らかにしました。これは液晶配向制御の実環境に近い条件で得られた初めての結果で、デバイス設計に直接役立つ知見を与えるものです。また、後者の研究では、レオメーターと組み合わせた中性子反射率測定により、ずり速度の増加速度が界面構造形成を支配することを示しました。この成果は、ずり流動誘起構造化が界面の拘束条件に強く依存することを示しており、表面・界面での分子配列が機能を決定するというソフトマター科学の核心に迫るものです。
これらを含むこれまでの研究成果は、英文誌原著論文や総説として発表され、複数の受賞歴もお持ちです。また、コロイドおよび界面化学討論会にも積極的に参加・発表されております。
以上のように、根本先生の独創的な研究内容と優れた業績は卓越したものであり、今後も当部会での活躍が期待されることから、科学奨励賞の受賞にふさわしいと判断されました。

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