令和7年度 科学奨励賞・技術奨励賞受賞者について 2025.11.07
日本化学会コロイドおよび界面化学部会の令和7年度部会奨励賞(科学奨励賞、技術奨励賞)の選考委員会が、令和7年2月7日に開催され、推薦された候補者について賞選考委員会において慎重に審査を行った結果、下記の方々が選出されました。また2月10日に行われた役員会において、受賞者として承認されました。
令和7年度 科学奨励賞受賞者
- 吉田一也先生(山形大学)
令和7年度 技術奨励賞受賞者
- 福原隆志氏(株式会社資生堂)
選考理由
吉田一也先生は、特に、リン脂質二分子膜に対する毒性分子アセトニトリルの影響の解明およびクサカゲロウ目の翅(はね)の光学特性の解明に関する研究で顕著な成果を挙げておられます。前者においては、アセトニトリルが、細胞膜を破壊する可能性があることを示したとともに、アセトニトリルの脂質膜内へのおおよその侵入量を見積もることに成功しています。後者においては、翅の光学特性を分光学的な実験と数値計算を駆使して検討し、翅の表面微細構造が光の反射防止性能を発現していることを明らかにしています。これらを含むこれまでの研究成果は、英文誌原著論文をはじめ、著書や総説、特許などで発表されています。また、コロイドおよび界面化学討論会にも積極的に参加・発表されております。
以上のように、吉田先生の独創的な研究内容と優れた業績は卓越したものであり、今後も当部会での活躍が期待されることから、科学奨励賞の受賞にふさわしいと判断されました。
福原隆志氏は、適切な分散媒と分散剤を用いた酸化チタンや酸化亜鉛粒子分散液を皮膚等に塗布した際、その乾燥過程において膜内で凝集体粒子の動的な再分散が起こり、UV遮蔽効果と透明性を両立した塗布膜が形成されることを見出したとともに、その過程のメカニズムや制御法を明らかにしました。また、この現象を日焼け止め製剤の開発に展開されています。これらの研究成果については、英文誌原著論文や総説として発表されているとともに、特許としても公開されています。また、当部会のコロイドおよび界面化学討論会にも参加・発表されております。
以上のように、福原氏は、学術的にも産業的にも優れた研究成果を挙げられており、今後も当部会での活躍が期待されることから、技術奨励賞受賞者としてふさわしいと判断されました。
