公益社団法人日本化学会 : コロイドおよび界面化学部会

  1. English
  2. 入会案内

令和5年度 科学奨励賞および技術奨励賞受賞者について 2024.05.19

日本化学会コロイドおよび界面化学部会の令和5年度部会奨励賞(科学奨励賞、技術奨励賞)の選考委員会が、令和5年2月8日に開催され、推薦された候補者について賞選考委員会において慎重に審査を行った結果、下記の方々が選出されました。また令和5年2月16日に行われた部会役員会において、受賞者として承認されました。

令和5年度 科学奨励賞受賞者

伴野太祐先生(慶應義塾大学)
猿山雅亮先生(京都大学) 

令和5年度 技術奨励賞受賞者

該当者なし

選考理由

伴野太祐先生は、慶應義塾大学大学院理工学研究科で学位を取得された後、東京大学 大学院総合文化研究科で助教を勤められ、その後母校に戻られ研究を展開されています。非平衡条件下で現れる時空間ダイナミクス、特に自発的に運動したり構造転移したりする物体(アクティブマター)に関して、分子の特性から生命にみられる特徴的なダイナミクスを誘導、制御する研究を先導されておられます。
従来の非線形現象に対するアプローチは、既存や新規の物質やシステムを用いて、実験条件の緻密な設定や組み合わせにより展開されてきましたが、伴野先生は、生物をまねたアクティブマターの視点を導入するとともに、系を構成する成分の分子変換や分子間相互作用に着目し、分子の特性から非平衡・非線形系で現れる時空間ダイナミクスを分子レベルから誘導を行という新機軸を打ち出している点が評価されました。
以上のように、伴野太祐先生の業績・活躍は卓越したものであり、科学奨励賞受賞者としてふさわしいと判断されました。

猿山雅亮先生は、筑波大学大学院数理物質科学研究科で学位を取得された後、企業での勤務を経て、京都大学でナノ材料化学、光触媒に関する研究を展開されています。
猿山先生は、これまで一貫して液相でのボトムアップアプローチによる新しいナノ構造体の創製に取り組まれてきました。特にサイズ・形状の分散が狭い「構造の均一性」を有する高品質な無機ナノ粒子群の合成手法を確立することにより、構造に起因する物性や現象を詳細に検証することを可能としています。例えば、異なる化学種をナノ粒子内で接合させたヘテロ構造ナノ粒子を選択的に合成する手法を確立されており、その構造に特異的な光励起電荷分離特性や水電解触媒活性の発現を見出されています。また、ナノ粒子の精密組成制御による高活性水分解電解触媒および光触媒用助触媒の開発にも成功されています。
これらの成果はScience 誌やNature 姉妹誌を含む原著論文で公表され国内外から高い評価を得ており、ナノ材料創製技術の発展に大きく貢献していることが評価されました。以上のように、猿山雅亮先生の業績・活躍は卓越したものであり、科学奨励賞受賞者としてふさわしいと判断されました。

先頭に戻る