公益社団法人日本化学会 : コロイドおよび界面化学部会

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平成29年度科学奨励賞および技術奨励賞受賞者の決定 2017.02.13

平成29年1月20日(金)に、当部会の平成28年度賞選考委員会が、化学会館にて開催されました。科学奨励賞8名、技術奨励賞1名の候補者が推薦され、厳正かつ慎重な審査を行った結果、委員会規定に則り、下記の方々が、受賞候補者として、選出されました。そして、同日行われた部会役員会にて、受賞者として承認されましたので、ご報告致します。

平成29年度 科学奨励賞受賞者

山本拓矢 氏 北海道大学
「環状高分子を利用した新奇機能性ソフトマテリアルの開発」
中西和嘉 氏 物質・材料研究機構
「界面における分子・分子集合体の動的構造制御と機能」

平成29年度 技術奨励賞受賞者

小倉卓 氏 ライオン株式会社
「界面活性剤が形成する分子集合体の溶液構造解析による高機能性複合材料の創製」

選考理由

山本氏は、リング状の両親媒性ブロックポリマーの新規合成法の開発から、その基礎物性と自己組織化、特にミセル形成挙動とその構造解析、そしてミセルの特性解析に関する一貫した系統的研究を独自に遂行されました。環状ブロックポリマーのミセルが、線状ブロックポリマーのミセルより耐熱性や添加塩耐性に優れていることなど、非常に興味ある発見をされています。好熱菌にヒントを得たこれらトポロジー効果というコンセプトを創出した独創的な研究が高く評価されました。

中西氏は、有機合成の技術に基づき、構造有機化学を反応開発という王道の手法で進め、さらに近年、これに界面化学的手法を取り入れることにより、新規な分子制御法を開発した業績が高く評価されました。界面という低次元場に分子集合体に立脚した分子機械を構築しています。具体的には、ペンチのように振る舞う分子の単分子膜を水面上に展開し、膜の圧縮・拡張による分子機械の動きを、熱力学と分子計算の両面から定量するという新手法を開発しました。育児と研究を両立して、50報以上の論文を報告するなど、女性研究者のロールモデルを提供する存在であることも評価されました。

小倉氏は、研究開発本部に所属しながら大学との共同研究を積極的に進め、多くの論文を発表したことが高く評価されました。留学経験を生かした散乱法の技術と知識を駆使して、界面活性剤などの分子集合体の構造解析に多くの成果を挙げておられます。単なる構造解析にとどまらずライオン独自の界面活性剤の高い洗浄力発現の機構を解明に結びつけたり、点眼剤における有効成分の吸着挙動を解明するなど、構造解析の成果を商品開発へと結びつけた業績が高く評価されました。

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