よくある質問

乳化や分散のスケールアップでラボ処方と量産条件が合わない原因は何ですか?

【ポイント】

  • 同じ配合でも装置差でせん断場と分散エネルギー密度が変わる
  • 混合時間や滞留時間の違いが粒径分布や構造形成に影響する
  • 伝熱効率の差で温度履歴が変わり粘度や相挙動がずれやすい
  • 原料投入順序や添加速度の差が乳化・凝集挙動を左右しやすい
  • 脱泡、壁面付着、局所濃度むらが量産時の不良要因になりうる

【回答】
ラボと量産で条件が合わなくなる主因は、配合が同じでも装置内の流れ、せん断、エネルギー密度、温度履歴、滞留時間が同じにならないためです。さらに、原料の投入順序や添加速度、脱泡や洗浄性、局所的な濃度むらも品質に影響します。つまり、処方そのものより「どう混ぜ、どう作るか」の差が結果を大きく左右します。

【解説】
乳化や分散のスケールアップで最も重要なのは、「同じレシピ=同じ品質」にはならないという点です。ラボでは小型ホモミキサーやビーカー撹拌でうまくいっても、量産機では装置の形状、羽根径、回転数、槽内循環、ギャップ幅が異なるため、液体が受けるせん断場やエネルギー散逸が変わります。その結果、液滴や粒子の破砕効率、再凝集、粒径分布が変化し、粘度や安定性、感触までずれてきます。

また、スケールが大きくなると伝熱が遅くなり、昇温・冷却速度や槽内の温度分布が不均一になりやすくなります。これは界面活性剤の溶解状態、油水界面の形成、高分子の水和、結晶化や相転移に影響し、ラボでは見えなかった差を生みます。さらに、原料の投入位置、順番、添加速度が変わると、局所的に高濃度域ができて凝集や粗大化が起こることもあります。

量産では加えて、壁面付着、泡の巻き込み、配管通過時の再せん断、洗浄後残渣など実機特有の要因も無視できません。そのためスケールアップでは、回転数だけでなく周速、せん断速度、単位体積当たりの動力、混合時間、温度履歴を見ながら、工程条件を含めて処方を最適化することが重要です。