公益社団法人日本化学会 : コロイドおよび界面化学部会

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第12回分散凝集科学技術講座 -分散・凝集のすべて- 2025.08.05

第12回分散凝集科学技術講座 -分散・凝集のすべて-

 

主催:日本化学会 コロイドおよび界面化学部会

協賛(予定):(順不同)界面動電現象研究会、化学工学会、高分子学会、材料技術研究協会、色材協会、電気化学会、ナノ学会、土壌物理学会、日本化粧品技術者会、日本セラミックス協会、 日本分析化学会、日本油化学会、日本レオロジー学会、表面技術協会、粉体工学会、日本接着学会、応用物理学会

日時:2025年12月16日(火)― 17日(水)

開催方式:オンライン(Zoom)

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開催概要:

分散・凝集技術は、塗料、セラミックス、電池材料をはじめとする工業分野だけでなく、食品、化粧品、医薬品、農薬などの幅広い領域において重要な基盤技術です。分散系における粒子の表面状態、ナノ構造、粒子間の相互作用など、ミクロスコピックな現象がマクロスコピックな物性にどのように影響するかについては、今なお多くの課題が残されています。

本講座は、これまでの11回の開催を通じて培った知見に基づき、今年度は特に基礎部分の内容を充実させました。分散・凝集の原理から始まり、測定・評価手法、さらには実際の応用例まで体系的に学べる構成となっています。特に初心者の方や基礎を再確認したい方にも理解しやすいよう、解説を強化しています。

また、参加者の多様なニーズに応えるため、2日目の午後には選択制の2コースを設け、より専門的な内容も学べるようにしています。さらに、全プログラムは見逃し配信にも対応し、後から両コースを視聴することも可能です。

1)選択制の2コース(2日目の午後)

Aコース:電池、エレクトロニクス、塗料、新規応用向け

Bコース:化粧品、ハウスホールド、バイオ、医薬品向け

2)見逃し配信

2つのコースを後から視聴可能

3)講座テキストのカラー印刷

テキストはカラー印刷

 

12月16日(火)【分散・凝集の基礎と考え方、および設計指針】  

9:10~10:20実用系における分散凝集の基礎と未解明課題への挑戦                                      武田コロイドテクノ・コンサルティング㈱  武田  真一  先生   

実用系ではインクや塗料だけにとどまらず、様々な応用分野で分散凝集制御と評価がキーとなっている。本講では、分散凝集現象の基礎理論から実用系での制御原理や評価法までの全体像について平易に解説することで、本講の後に続く色々な講演のイントロダクションの役目も果たしたい。分散凝集の初級者の方には各論に入る前の予習として位置づけて頂ければ幸いです。

 

10:30~11:50【特別講演】 非可逆系 vs. 可逆系ー分散凝集に対するアプローチの選択                            東京理科大学 大島 広行 先生 

疎液性粒子の分散・安定性に対するDLVO理論では、粒子分散系は準安定状態にあり、粒子の凝集は不可逆過程とみなされる。粒子間のファンデルワールス引力と静電斥力をもとに系の安定性を評価する。ここで、ハマカー定数(凝集促進因子)とゼータ電位(分散促進因子)が重要な役割を演じる。本講演では、DLVO理論の発展を振り返り、現状と課題について解説する。さらに、エマルション系、高分子層で覆われた柔らかい粒子の系についても述べる。

 

12:50~14:00コロイド粒子の帯電と分散凝集に対する理論モデルの適用性                           筑波大学 小林 幹佳 先生

コロイド粒子の帯電挙動および分散・凝集現象を理解する上で、電気泳動理論やDLVO理論は、基礎的かつ重要な理論モデルとして位置付けられる。本講演では、これらの理論的枠組みを概説するとともに、比較的単純な水系コロイドを対象とした実験結果と比較し、その妥当性を議論する。特に、ゼータ電位、臨界凝集濃度、凝集速度といった観点から理論と実験の整合性や乖離を検討し、コロイド分散系の安定性に関する理解を深める。

 

14:10~15:20微粒子表面のハンセン溶解度パラメータの測定および分散性評価                           関西大学 山本 秀樹 先生

凝集エネルギー密度(CED)である、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)は、物質間(高分子―高分子間、高分子―溶媒間など)の相溶性・親和性評価に用いられおり、微粒子の溶媒中での凝集・分散性評価にも応用されている。本講では、微粒子表面のHSPの測定方法およびHSPを適用した分散性評価の事例を紹介し、溶解度パラメータを応用した新しい材料開発について概説する。

 

15:30~16:40実用濃厚スラリーでの分散設計 ~分散安定性とぬれの考え方                      小林分散技研 小林 敏勝 先生

塗料やインクなどの濃厚な固体粒子分散系では、大きなハマカー定数、異種電荷粒子の共存、夾雑イオンの存在などの理由で、高分子吸着による分散安定化が重要である。このための高分子と粒子との親和性の考え方や評価方法、分散剤分子設計について概説する。また、低表面張力粒子の水性系での分散では、水性媒体に対するぬれの確保が重要であり、このための着眼点を示す。

 

16:50~18:00直接測定からわかる表面間力の実際

同志社大学 石田 尚之 先生

分散・凝集挙動の適切な評価、制御のためには、粒子間に働く相互作用力(表面間力)への理解が必要不可欠である。表面間力の直接測定が可能になって以来、DLVO理論に当てはまらない多くの非DLVO力が定量的に確認され、それらのメカニズムが明らかになってきた。本講演では、直接測定によって得られた、表面間力に関する知見を紹介し、それらが分散凝集へどう寄与するかを俯瞰したい。

           

12月17日(水)AM【分散・凝集の評価と制御】

9:00~10:00光散乱法で計測する液中粒子のサイズ・形状・相互作用                  

産業技術総合研究所 高橋 かより 先生

光散乱法の中でも特に動的光散乱(DLS)法は、装置も安価で測定手順も比較的簡単である。しかし、測定されたデータの取り扱いに困っている研究者は案外多いのではないだろうか。光散乱法の原理について静的光散乱から説き起こし、動的光散乱法の原理や測定/解析の注意点について簡潔にまとめる。また、粒子の形状や相互作用についての情報も得られることを解説する。

 

10:10~11:10分散系レオロジーの基礎と評価                            

日本ペイントコーポレートソリューションズ(株) 井賀 充香 先生   

工業製品の中には濃厚分散系の試料が多くあります。これらは構成物質の分散や凝集状態が系全体のレオロジーに反映されます。その挙動は複雑ですが、刺激の与え方と応答を評価することで理解に近づくことができます。そのためのレオロジーの基礎、測定・解析方法と事例を紹介します。

 

11:20~12:20実用濃厚系における分散凝集の評価法                          

武田コロイドテクノ・コンサルティング㈱  武田  真一  先生   

実用分散系は、ペースト、スラリー、クリーム、インクなどそのほとんどが粒子や液滴濃度の高い系から成り立っている。そこでは、理論構築に良く用いられている希薄系に比べて粒子間距離が短いことに起因して粒子間相互作用が様々なかたちで強く影響している。したがって、実用系の評価法も自ずと粒子間相互作用をどのように扱うかが鍵となる。本講では、実用濃厚系に適用実績のある手法について、実例を取り上げながら平易に解説する。

 

12月17日(水) PM 【分散・凝集の応用】

【Aコース:電池、エレクトロニクス、塗料、新規応用向け】

 

13:30~14:30ナノ粒子の界面設計による分散制御とCircular economyへの応用                                  早稲田大学(東京農工大学)  神谷 秀博 先生

無機系機能性ナノ粒子の液中、固体中への分散制御技術は、ナノ粒子の素材等への応用において重要な基盤技術である。一般にナノ粒子の表面に有機分子構造を結合、修飾することで、ナノ粒子を分散させる溶媒、固体への親和性を高める手法が用いられている。様々な溶媒や固体中に分散可能な界面構造設計法や解析法を解説した上で、分散制御したナノ粒子の応用事例として、循環型社会に資する材料設計法への応用について紹介する。

 

14:40~15:40高濃度粒子分散系のレオロジー制御 ー擬塑性流動とダイラタント流動を使いこなすー           ㈱豊田中央研究所 中村 浩 先生

高濃度な粒子分散系は擬塑性流動(シアシニング)やダイラタント流動(シアシックニング)などの特徴的な非ニュートン流動を示すが、これらの挙動が工業的なプロセスにおける生産性や品質に大きな影響を及ぼすことから、その制御指針が求められている。これらのレオロジー挙動を支配する液構造は、シリカなどの斥力系粒子の場合とカーボンなどの引力系粒子の場合によって異なることから、それぞれの特徴と制御指針について説明する。

 

15:50~16:50数値シミュレーションで可視化する分散・凝集とその流動・乾燥挙動

(社)プロダクト・イノベーション協会  辰巳 怜 先生

粒子分散系から機能材料を作製するプロセスは、流動・乾燥という外場により分散・凝集を動的に変化させ、材料機能を発現する粒子高次構造に固定化する過程である。材料性能の向上には、分散・凝集を制御するプロセス条件の把握と、分散・凝集を評価するレオロジー特性などの測定量の適切な解釈が必要となる。そのための有効な手段となるのが流体中の粒子運動を解析・可視化する数値シミュレーションであり、その概要と得られる知見を解説する。

 

【Bコース:化粧品、ハウスホールド、バイオ、医薬品向け】

 

13:30~14:30化粧品の乳化概論と技術動向                                               神奈川大学 山下 裕司 先生

乳化物の不安定性は界面の不安定性に帰結され、安定化を図るために乳化剤や高分子、粉体などが利用される。本講演では、乳化に関わる基本理論と考え方を概説し、最近の乳化技術動向や研究について紹介する。

 

14:40~15:40粒子分散および表面処理の基本的な考え方とその具体例                         福井技術士事務所 福井 寛 先生

産業界では粒子は水、油、エマルションまたは樹脂などの他成分と混合して利用する場合が多く、粒子分散は重要な技術となっている。また、あるがままの粒子では粒子表面で吸着や触媒反応などが起って混合系を劣化させるなどの悪影響を与える場合がある。このような場合には粒子を不活性化させ、望みの系に分散しやすい表面処理を行う。本講演では粒子にとって重要な粒子分散と表面処理の基本的な考え方と具体例について述べる。

 

15:50~16:50化粧品における粉体分散技術(分散体とその塗布膜の設計と評価)                         株式会社資生堂 福原 隆志 先生

日焼け止めやメーキャップ製品には紫外線散乱剤や顔料などの粉体素材が配合されており、その分散状態は製品を肌に塗布した際の紫外線防御効果や発色性に影響する。本講演では化粧品処方における粉末分散体およびこれを肌に塗布した“塗布膜”に注目をして、その設計と評価方法について紹介する。

 

■参加費

部会員30,000 円、日本化学会会員35,000 円、協賛学会員35,000円、非会員40,000 円、学生(部会員) 8,000 円、学生(非会員) 10,000 円

 

※参加費は全て税込価格となります。

※いずれも要旨集代込みとなります。

※ご勤務先が法人部会員の場合は部会員、日本化学会法人会員の場合は日本化学会会員、協賛学会法人会員の場合は協賛学会員扱いとなります。

※定員になり次第、お申込みを締め切らせていただきます。

 

■お申込方法

2025年9月上旬頃から申し込みサイトをオープンする予定です。それまでしばらくお待ちください。

 

■お問合せ                       

「第12回分散凝集科学技術講座」事務局                               

E-mail: jigyoukikaku_03@colloid.csj.jp                     

 

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