第42回コロイド界面技術シンポジウム ”温故知新;経験を知り新たな製剤開発への展開を探る” ~領域レジェンドと若手ホープとの融合~ 2024.11.14
主催:日本化学会 コロイドおよび界面化学部会
協賛(予定):応用物理学会、化学工学会、高分子学会、日本レオロジー学会、日本化粧品技術者会、日本香粧品学会、日本生物工学会、日本熱測定学会、日本農芸化学会、日本膜学会、日本薬剤学会、日本油化学会、粉体工学会、日本物理学会、日本生物物理学会、日本分析化学会、日本吸着学会
会期:2025年1月23日(木)-24日(金)
会場:同志社東京オフィス(東京都中央区京橋2丁目7番19号 京橋イーストビル3階)
開催方式:ハイブリッド(対面、およびZoomによるオンライン)
【開催趣旨】
コロイドおよび界面化学に関する研究を応用し、創製される化粧品・医薬品・日用品等は、界面活性剤溶液や微粒子の会合状態・形態を制御することで、特異的な機能特性を発現することが可能となります。本シンポジウムでは、これらの研究領域を構築・推進されているレジェンドの知恵を学び、その分野の若手ホープからの最新研究について講演頂くことで、皆様の今後の製剤開発につながるヒントを探っていただきたいという趣旨で、今回の「温故知新」を企画いたしました。特に界面化学を中心とした泡、洗浄、可溶化・乳化、分散等をテーマの主軸として構成、さらには分析機器メーカーからの最新評価動向も併せてご講演いただきます。是非、製剤開発につながるコロイド界面技術のコツをつかみに、ご参加のほどよろしくお願いいたします。
プログラム
第1日目:1月23日(木)
9:30~10:40
界面化学レジェンド “界面活性剤・脂質が形成する自己組織化構造 ~基礎と最近のトピックス~”
東京理科大学 酒井 秀樹 先生(現コロイドおよび界面化学部会長)
界面活性剤・脂質などの両親媒体性分子は、水中・非水溶媒中で様々な分子集合体(ミセル・ベシクル・リオトロピック液晶等)を形成します。本講では、これらの分子集合体の構造・物性、ならびに形成機構について概説します。さらには、先端分析手法により新たに明らかになってきた分子集合体のナノ構造・界面物性や、外部刺激にオンデマンドで応答する分子集合体など、最近のトピックスについても紹介します。
10:50~12:00
製剤設計レジェンド “界面活性剤を含有する製剤設計における相図の活用”
元ポーラ化成工業(株) 鷺谷 廣道 先生
化粧品・日用品の製剤には界面活性剤相は何らかの目的で広く利用されています。界面活性剤は溶液中で分子集合体を構成するために溶解状態が複雑で、開発担当者が設計通りの製品を作る上での課題の主たる要因になっています。本講演では相図(相平衡図や相状態図)を用いて界面活性剤の油水溶液における溶解状態を理解することで、製剤開発の効率化に繋がることを目的に話をさせていただきます。
12:00~13:00 昼食・休憩
13:00~14:10
DDSレジェンド “DDSナノキャリア概論”
京都大学 秋吉 一成 先生
近年、ナノテクノロジーを駆使した先進医療が進展し、様々な疾患に関する診断、予防、治療、および再生医療において、様々なナノバイオ材料の開発が益々重要となってきた。特に、バイオ医薬品の有効性が明らかになり、それらを安定に送達、徐放しえるドラッグデリバリーシステム(DDS) の開発が望まれている。本講演ではコロイド科学と関連するナノキャリアのDDS研究を概観する。
14:20~15:30
洗浄レジェンド “洗浄メカニズム識別や洗浄影響因子間の相互作用を解析できる新たな洗浄速度論”
横浜国立大学 大矢 勝 先生
汚れの付着力と洗浄力の両者が正規分布に従うばらつきを有するという前提で、確率密度関数を用いて洗浄挙動を解析する新たな洗浄速度論について紹介する。この解析法を用いることで、固体粒子脱離、溶解、可溶化、乳化等の洗浄メカニズムを判別、温度、時間、活性剤濃度等の洗浄影響因子間の相互作用が相乗・相加・相殺のいずれであるかを判定することができる。
15:40~16:50
散乱レジェンド “角層への分子・分子集合体の作用 ~解決したい課題~”
名古屋産業科学研究所 八田 一郎 先生
角層への分子の浸透について、蛍光顕微鏡やストリッピングなどにより議論されることが多々ある。一方,X線回折実験やFTIRでは細胞間脂質より成る構造の変化、とくに炭化水素鎖の充填構造の直方晶から六方晶への転移、に基づいて議論することが多い。前者では分子の局在箇所について、後者ではいわば結晶構造の微妙な変化を扱っている。浸透におけるこれらの相対している結果について考える。それと関連して皮膚表面で何が起こっているかを考えたい。
第2日目:1月24日(金)
9:30~10:20
“皮膚洗浄料の泡のはたらき ~泡と皮脂・肌の界面~”
花王(株) 日下 梓 氏
皮膚洗浄料の泡は、肌を心地よく包み込み、洗浄実感や肌へのやさしさを想起させる。このような情緒的な要素に加えて、泡はその物理的な構造により様々な機能を持つことがわかってきた。例えば、きめ細かい泡は擦らなくても自発的に油を乳化すると同時に、界面活性剤の角層への吸着量を低減する。皮膚洗浄における泡の機能と作用機序を解説する。また、製品にとって重要な泡感触の起源について、泡と肌の界面の観点から検討した例を紹介する。
10:30~11:20
“泡品質の異なる脂肪酸カリ石けんの構造特性”
(株)コーセー 岩田 遵拓 氏
近年の洗顔料は洗浄力以外に泡立ちや泡の弾力と称される泡品質も重視される。特に水酸化カリウムで脂肪酸を中和した“脂肪酸カリ石けん”は高い気泡性を有し、使用性も優れているため、広く親しまれてきた。これまでに脂肪酸石けんは単成分系や多成分系での界面化学的特性や規則構造が報告されているが、製剤系ではより複雑な処方が想定される。本講演では製剤系における脂肪酸カリ石けんの研究事例を泡品質の違いと構造特性に焦点を当て紹介する。
11:30~12:20
“両連続相と液晶相を共存させた新規乳化物の微細構造と機能”
(株)アルビオン 新間 優子 氏
両連続マイクロエマルション(BCME)由来の高洗浄力を維持し、優れた使用性を兼ね備えたクレンジング製剤を実現するために、「界面膜の曲げ弾性」を制御する新規フォーミュレーション手法(BCLC乳化)を構築し、液晶(LC)相との共存によってBCME相を外相に維持したまま、一部油剤を滴状に乳化・増粘した新規乳化物を調製した。本研究では、小角・広角散乱測定・顕微鏡観察・力学物性測定を用い、これら製剤の微細構造と機能の関わりの解明を目指した。
12:20~13:20 昼食・休憩
13:20~14:10
“刺激性の化学物質を皮膚に残さない、気体を活用した独自の洗浄技術” ~ウルトラファインバブルは未来の乳化技術になりえるか?~
ポーラ化成工業(株) 小林 一貴 氏
洗顔後に肌に残るわずかな化学物質による刺激を避けるには、化学物質を使わない洗浄が理想である。そこで、我々は超微細気泡“ウルトラファインバブル(UFB)”の洗浄機能に着目し、①UFBの長期安定化技術、②肌に優しく洗浄できる高濃度UFB製剤の開発、③UFBの肌への無刺激性を実証した。さらに、高濃度UFBの油の分散力を活用した次世代の乳化“気相乳化”にも取り組み、誰もが制限なく楽しめる“インクルーシブなスキンケア”を切り拓く。
14:20~15:10
“溶媒揮発が誘起する粒子分散性のスイッチングと日焼け止め製剤への応用”
(株)資生堂 福原 隆志 氏
酸化チタンや酸化亜鉛粒子の分散状態は日焼け止めの光学性能に影響する。多くの場合、揮発性および不揮発性油分の混合物が分散媒として用いられ、油分種に応じた適切な分散剤を組み合わせて粒子分散性を制御する。本講演では、分散媒中の一部の油分が肌上で揮発することによる塗布膜の組成変化が分散剤の機能と粒子分散性に及ぼす影響、および分散性の動的な変化を応用した日焼け止め製剤の研究例を紹介する。
15:20~16:10
“プレストファンデーション内部構造を高精度に解析する技術の開発”
日本メナード化粧品(株) 豊田 直晃 氏
プレストファンデーションは、多種多様な粉体原料とつなぎとなる油剤を混合し、得られたバルク粉体を圧縮成型して完成する製剤である。つまり、その製剤特性は、成分組成だけでなく成型体内における粉体の存在状態にも大きく影響を受けると考えられる。本発表では、放射光X線CTを用いてプレストファンデーションの内部構造を可視化し、特定の内部構造因子と感触特性との相関を定性的および定量的に解析した研究事例を紹介する。
16:20~17:10
“分散系サンプルのせん断流動下における偏光イメージング測定および小角光散乱測定事例の紹介”
(株)アントンパール・ジャパン 新井田 萌重 氏
粘度測定や動的粘弾性測定などで得られる力学特性データは、材料の活用に重要であり幅広い研究分野および産業分野で用いられている。さらに、レオメータを用いた力学測定と、光学測定や電気化学測定などを同時に実施することで、せん断流動場における材料の変化を多面的に捉えられる。本講演では、界面活性剤等からなるα-ゲルやCNFの測定事例を基に、せん断流動下における偏光イメージング測定や小角光散乱測定等を紹介する。
【参加費】
部会員 25,000円、日本化学会・協賛学会員 30,000円、
非会員 35,000円、学生(部会員) 6,000円、学生(非会員) 10,000円
※参加費は全て税込価格となります。
※ご勤務先が法人部会員の場合は部会員、日本化学会法人会員の場合は日本化学会員、協賛学会法人会員の場合は協賛学会員扱いとなります。
※協賛学会はウェブサイト、下記申込みフォームよりご確認ください。
【お申込方法】
下記Webサイトにアクセスし、お申し込みください。
(準備中)
申込は当日まで受け付けますが、会場での現金授受を伴う受付は行いませんので、当日でも申し込みサイトからお申込み下さい(当日申込はカード決済でお願い致します。)。当日の円滑な運営のために、可能な限り1/17(金)までのお申し込みにご協力をよろしくお願いいたします。
【お問合せ】
日本化学会 コロイドおよび界面化学部会
E-mail: jigyoukikaku_01(at-mark)colloid.csj.jp
※「(at-mark)」は半角の「@」へ変更してください。