公益社団法人日本化学会 : コロイドおよび界面化学部会

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コロイド先端技術講座2024 静的秩序および動的秩序を有するソフトマテリアル〜人工材料から生体組織まで〜 2024.11.08

主催:日本化学会 コロイドおよび界面化学部会
協賛(予定、順不同):応用物理学会、化学工学会、高分子学会、日本レオロジー学会、日本化粧品技術者会、日本香粧品学会、日本生物工学会、日本熱測定学会、日本農芸化学会、日本膜学会、日本薬剤学会、日本油化学会、粉体工学会、日本粉体工業技術協会、日本物理学会、日本生物物理学会、日本分析化学会、日本吸着学会、錯体化学会、繊維学会、電気化学会、日本接着学会、日本液晶学会、ナノ学会、日本トライボロジー学会、日本薬学会


日時:2025年3月14日(金)9:45〜17:25
会場:同志社大学 東京オフィス(東京都中央区京橋2丁目7番19号 京橋イーストビル3階) 
開催方式:ハイブリッド(対面およびZoomによるオンライン)

開催概要:ソフトマテリアルは、「複雑さ」と「柔軟性」という二つの主要な特徴を持ちます。この二つの特徴により、ソフトマテリアルは、多機能性を発揮し、材料科学および生物学の分野で重要な役割を果たしています。本講座では、ソフトマテリアルに見られる静的秩序と動的秩序に焦点を当て、これらの秩序が生み出す予想外の性質および機能に関する最新の研究成果を、この分野を牽引されている著名な先生方に紹介していただきます。この講座を通じて、ソフトマテリアルの持つ無限の可能性とその応用範囲について深い洞察を得ることができます。

プログラム

9:20 開場

9:45 – 9:50 趣旨説明

9:50 – 10:50 【基調講演】「巨視的に配向したコロイド集合体の合成・構造・機能」
石田 康博 先生(理化学研究所 創発生体関連ソフトマター研究チーム)

希薄なコロイド分散液中にて、粒子間の斥力と引力が適度なバランスを保つ時、粒子同士が非接触ながらも一定間隔で配置された格子を形成することがある。こうした秩序構造は通常、ミリメートルオーダー程度までしか連続できず、系全体はランダム配向したドメインの混合となるのに対し、異方形状粒子の分散液に強磁場を印加した際、秩序構造がセンチメートルを超えるサイズで3次元的に連続できることを、我々は実証してきた。この特異な構造の物性評価・機能開拓に関する、最近の試みを紹介する。

10:55- 11:55 【基調講演】「コロイド界面科学を用いたアクティブマターのメカニズムとデザイン」
北畑 裕之 先生(千葉大学 大学院理学研究院 物理学)

ノーベル化学賞学者であるPrigogineは、非平衡状態で安定な空間秩序や時間秩序が自発的に形成される散逸構造を提唱しました。近年は、非平衡性を利用して運動性を獲得する系が盛んに研究されてきています。それらの系の多くで、コロイド粒子が用いられたり、表面エネルギー差を用いられたりと、コロイド界面科学と深く関係しています。講演では、非平衡環境から運動性を獲得するメカニズムを議論し、より効率良い系をどうデザインするかに迫ります。

13:00 – 13:50 「アクティブマターの集団運動制御と機能創発」
角五 彰 先生(京都大学 大学院理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻)

鳥や魚、蟻、バクテリアなどの生物は、整然とした群れを形成し、効率的な移動や一個体では実現できない機能を発揮する。このような群れの形成メカニズムや機能の発現には未解明の部分が多い。私たちは、分子モーターを活用したアクティブマターを用い、これらの現象を物理学的視点で解明することを目指している。この研究は、新しい物質や環境適応型ロボットの開発など、未来の物質科学に貢献する可能性を秘めている。

13:50 – 14:40 「高速AFMによるソフトマテリアルの動態イメージング」
内橋 貴之 先生(名古屋大学 理学研究科 生体分子導体機能研究室)

2001年に発表された高速原子間力顕微鏡(AFM)は、80ms/frameという高時間分解能で溶液中のタンパク質の非侵襲イメージングを可能にした技術である。2008年に現行性能が確立され、主にタンパク質や核酸など生体分子の機能動態観察に応用されてきた。近年では合成高分子の観察への応用も進み、表面構造イメージングに加え、分子操作や力学特性計測などの多機能化も進んでいる。当日は最近の高速AFMによる計測例と機能拡張技術の進展について解説する。

14:50- 15:40 「ペプチド性超分子のデザインとバイオ機能」
若林 里衣 先生(九州大学 工学研究院 応用化学部門)

ペプチドは生体内で分子認識等の生理機能を示すだけでなく、ペプチド間相互作用を通して自己組織化し、多様な高次構造を形成する。我々は置換基を導入したペプチド間の相互作用や反応を駆使し、細胞への作用、細胞内デリバリー等の様々なバイオ機能を発現するペプチド性超分子を創製してきた。本講演では、自己組織化ならではの構造体デザインと、それに応じたバイオ機能の相関について、我々の最新の成果をもとに紹介したい。

15:40 – 16:30 「見るからわかる微生物が引き起こす不思議な界面現象〜バイオフィルムとフィジカルコミュニケーション〜」
野村 暢彦 先生(筑波大学 生命環境系)

地球上の多くの細菌は集団(バイオフィルム)状態で生息しており、そして社会性とともに不均一性を発揮することで、高度な生存戦略をとることが明らかになりつつある。そこには、細胞死を介した膜小胞形成など様々な能動的界面現象がかかわっていることを明らかにしてきた(Nature Reviews Microbiol. 2019)。また、我々は油滴上で細菌細胞同士がフィジカルコミュニケーションすることで、油滴の形状を樹状に変形させ、これによって界面の面積が指数関数的に拡大し、より多くの細菌が油と接触できることが可能となり、効率よく油が分解されることと、理論物理モデルを用いて、この配置パターンが液晶の物理学により説明できることを報告した(Science 2023)。以上のように、当研究室では微生物を中心としたサイエンスとそれを推進するためのイメージングなどのテクノロジー開発を双輪で進めてきたので、それらについても紹介させていただく。

16:35- 17:25 「超分子集合体の動的挙動とパターン形成」
浜地 格 先生(京都大学 大学院工学研究科 合成・生物化学専攻)

分子の自己集合によって形成される超分子集合体では、構成単位である小分子の精密な分子設計あるいは組み合わせによって、様々な構造や動的特性が現れる。本講演では、短鎖ペプチドや脂質類縁体からなる超分子ファイバーやコアセルベートを例に、平衡から大きくずれた動的挙動の実時間イメージングや巨視的パターン形成に関する我々の最新の結果を紹介し、その機序に関して議論させて頂きたい。

参加費:部会員10,000円 日化・協賛学会員15,000円 非会員20,000円 学生(部会員)3,000円 学生(非会員)5,000円
※参加費は全て税込価格となります。
※ご勤務先が法人部会員の場合は部会員、日本化学会法人会員の場合は日本化学会員、協賛学会法人会員の場合は協賛学会員扱いとなります。

申込方法
下記URLからお申し込みください。
 申し込みサイト
申込は当日まで受け付けますが、会場での現金授受を伴う受付は行いませんので、当日でも申し込みサイトからお申込み下さい(当日申込はカード決済でお願い致します)。当日の円滑な運営のために、可能な限り3/11(火)までのお申し込みにご協力をよろしくお願いいたします。
オンライン参加の場合は、後日URLをお送りします。

お問合せ
日本化学会 コロイドおよび界面化学部会
E-mail: jigyoukikaku_02(at-mark)colloid.csj.jp
※「(at-mark)」は半角の「@」へ変更してください。

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