第11回分散凝集科学技術講座 -分散・凝集のすべて- 2024.08.01
協賛(予定):(順不同)応用物理学会、界面動電現象研究会、化学工学会、高分子学会、材料技術研究協会、色材協会、電気化学会、ナノ学会、土壌物理学会、日本化粧品技術者会、日本セラミックス協会、 日本分析化学会、日本油化学会、日本レオロジー学会、表面技術協会、粉体工学会、日本接着学会
分散・凝集技術は、塗料、セラミックス、電池材料をはじめとする多岐にわたる材料分野だけでなく、食品、化粧品、医薬品、農薬などの工学、医学、薬学、農学などの分野においても重要な役割を担っています。分散系における粒子の表面状態、ナノ構造、粒子間の相互作用など、ミクロスコピックな事象がマクロスコピックな性質にどのように影響しているかは、依然として多くの課題があります。そのため、分散・凝集の制御や評価に関する深い理解と実践的なノウハウは研究者や技術者にとって不可欠です。この講座では、分散・凝集に関連する多様な分野の基礎から応用に至るまでの知識を提供し、具体的な解析方法やトラブルシューティングの技術を学べる貴重な機会を提供します。本講座は既に11回を重ねており、より魅力ある内容となるよう新たに次の企画を導入しました:
1)選択制の2コースを導入(2日目の午後)
Aコース:電池、エレクトロニクス、塗料、新規応用向け
Bコース:化粧品、ハウスホールド、バイオ、医薬品向け
2)見逃し配信の導入
2つのコースを後から視聴可能
3)講座テキストのカラー印刷化
モノクロ印刷からカラー印刷へ変更
12月12日(木)【分散・凝集の基礎と考え方、および設計指針】
実用系ではインクや塗料だけにとどまらず、様々な応用分野で分散凝集制御と評価がキーとなっている。本講では、分散凝集現象の基礎理論から実用系での制御原理や評価法までの全体像について平易に解説することで、本講の後に続く色々な講演のイントロダクションの役目も果たしたい。分散凝集の初級者の方には各論に入る前の予習として位置づけて頂ければ幸いです。
疎液性粒子の分散・安定性に対するDLVO理論では、粒子分散系は準安定状態にあり、粒子の凝集は不可逆過程とみなされる。二つの粒子間のファンデルワールス引力と静電斥力をもとに分散系の安定性が評価される。ここで、ハマカー定数(凝集促進因子)とゼータ電位(分散促進因子)が本質的な役割を演じる。本講演では、DLVO理論の発展を振り返り、その現状と課題について解説する。
凝集エネルギー密度(CED)である、ハンセン溶解度パラメータは、物質間(高分子―高分子間、高分子―溶媒間など)の相溶性・親和性評価に用いられおり、微粒子の溶媒中での凝集・分散性評価にも応用されている。本講では、微粒子表面の溶解度パラメータを評価するために、ハンセン溶解球法を適用したいくつかの事例を紹介し、溶解度パラメータを応用した新しい材料開発について概説する。
産業界では粒子は水、油、エマルションまたは樹脂などの他成分と混合して利用する場合が多く、粒子分散は重要な技術となっている。また、あるがままの粒子では粒子表面で吸着や触媒反応などが起って混合系を劣化させるなどの悪影響を与える場合がある。このような場合には粒子を不活性化させ、望みの系に分散しやすい表面処理を行う。本講演では粒子にとって重要な粒子分散と表面処理の基本的な考え方と具体例について述べる。
塗料やインクなどの濃厚な固体粒子分散系では、大きなハマカー定数、異種電荷粒子の共存、夾雑イオンの存在などの理由で、高分子吸着による分散安定化が重要である。このための高分子と粒子との親和性の考え方や評価方法、分散剤分子設計について概説する。また、低表面張力粒子の水性系での分散では、水性媒体に対するぬれの確保が重要であり、このための着眼点を示す。
動的光散乱(DLS)法は装置も広く普及していて、光散乱法の中では最も使いやすい測定法といえるでしょう。しかし、光散乱法には、「動的」光散乱法の他にも「静的」光散乱法もあります。測れるものも、粒子径だけではなく、粒子の形状や分子量、相互作用の強弱などなど、いろいろ解ります。光散乱法を便利に使っていただくためのノウハウを、基礎から実例をまじえてお話し致します。
工業製品の中には濃厚分散系の試料が多くあります。これらは構成物質の分散や凝集状態が系全体のレオロジーに反映されます。その挙動は複雑ですが、刺激の与え方と応答を評価することで理解に近づくことができます。そのためのレオロジーの基礎、測定・解析方法と事例を紹介します。
実用分散系は、ペースト、スラリー、クリーム、インクなどそのほとんどが粒子や液滴濃度の高い系から成り立っている。そこでは、理論構築に良く用いられている希薄系に比べて粒子間距離が短いことに起因して粒子間相互作用が様々なかたちで強く影響している。したがって、実用系の評価法も自ずと粒子間相互作用をどのように扱うかが鍵となる。本講では、実用濃厚系に適用実績のある手法について、実例を取り上げながら平易に解説する。
【Aコース:電池、エレクトロニクス、塗料、新規応用向け】
高濃度な粒子分散系は擬塑性流動(シアシニング)やダイラタント流動(シアシックニング)などの特徴的な非ニュートン流動を示すが、これらの挙動が工業的なプロセスにおける生産性や品質に大きな影響を及ぼすことから、その制御指針が求められている。これらのレオロジー挙動を支配する液構造は、シリカなどの斥力系粒子の場合とカーボンなどの引力系粒子の場合によって異なることから、それぞれの特徴と制御指針について説明する。
講演者の経験が多い金属微粒子・ナノ粒子の合成法の詳細とそれら用いた電子部品や医療材料への応用に向けたペースト・インク化について解説する。研究室レベルの小規模のものから中規模サイズまでの手法についてこれまでの研究結果から解説し、微粒子濃厚分散系の構築について皆さんと議論したい。また、その分散系の解析法、微粒子の高温形状変化についても触れる。
粒子分散系から機能材料を作製する塗布・乾燥プロセスは、流動・自由表面という外場により分散・凝集を動的に変化させ、材料機能を発現する粒子高次構造に固定化する過程である。材料性能の向上には、分散・凝集を制御するプロセス条件の把握と、分散・凝集を評価するレオロジー特性などの測定量の適切な解釈が必要となる。そのための有効な手段となるのが流体中の粒子運動を解析・可視化する数値シミュレーションであり、その概要と得られる知見を解説する。
【Bコース:化粧品、ハウスホールド、バイオ、医薬品向け】
粉体の油剤中への分散性の評価は、経験的・定性的なものが多い。特に化粧品用の紫外線散乱剤などの微粒子は、顕微鏡による観察すらもできない。そこで本セミナーでは、化粧品用微粒子の油剤への分散性を定量的に明らかにする手法について解説する。さらに、制御された微粒子分散系がもたらした新たな化粧品製剤に関する応用事例についても述べる。
乳化物の不安定性は界面の不安定性に帰結され、安定化を図るために乳化剤や高分子、粉体などが利用される。本講演では、乳化に関わる基本理論と考え方を概説し、最近の乳化技術動向や研究について紹介する。
化粧品におけるリポソームは、その多様な機能に応じた物理特性の制御が不可欠である。本講演では、特に多価アルコール法によって調製されたリポソームの形成機構および分散安定性に関する研究知見を中心に紹介する。
部会員30,000 円、日本化学会会員35,000 円、協賛学会員35,000円、
非会員40,000 円、学生(部会員) 8,000 円、学生(非会員) 10,000 円
※参加費は全て税込価格となります。
※いずれも要旨集代込みとなります。
※ご勤務先が法人部会員の場合は部会員、日本化学会法人会員の場合は日本化学会会員、協賛学会法人会員の場合は協賛学会員扱いとなります。
以下のWebサイトにアクセスし、お申し込みください。
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「第11回分散凝集科学技術講座」事務局
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