第10回分散凝集科学技術講座 分散・凝集のすべて 2023.08.10
協賛(予定):応用物理学会、界面動電現象研究会、化学工学会、高分子学会、材料技術研究協会、色材協会、電気化学会、ナノ学会、土壌物理学会、日本化粧品技術者会、日本セラミックス協会、日本分析化学会、日本油化学会、日本レオロジー学会、表面技術協会、粉体工学会、日本接着学会
「分散・凝集」の技術は、塗料、セラミックス、電池材料を始めとする材料分野だけでなく、食品、化粧品、薬品、農薬など、工学、医学、薬学、農学といった様々な分野に広く、かつ深く関連しています。しかしながら、分散粒子の表面状態やナノ構造、粒子間に働く相互作用力などのミクロスコピックな事象が、実際の系のマクロスコピックな分散凝集をどのように支配しているか、未だに包括的な学理は十分に構築されていません。その結果、分散・凝集の制御や評価は、ノウハウで扱われることが多く、その解析やトラブルシューテイングが研究者・技術者にとって悩みの種となっています。このような状況下、現場の研究者・技術者の方々か場の、「何処へ行けば必要な情報やノウハウを入手できるのか」という質問にお応えするために、分散・凝集に関連する様々な分野と基礎と技術の講演を集めた本講座「分散・凝集のすべて」を企画し、好評を得て本年度で10回目を迎えることができました。初学者の方からエキスパートの方まで様々な分野とレベルの皆様のために、一日目は「分散・凝集の基礎と考え方、および設計指針」について、二日目は、「分散・凝集の評価と制御、およびその応用」について学べるように、豪華講師陣をお招きしております。
昨年度に引き続きオンラインでの開催となりますが、本年度は「分散・凝集」に関わる新たな講演や見逃し配信を加え、より魅力ある講座を企画しました!
1)見逃し配信の設置[見逃し配信期間(講座後)]: 2023年12月14日(木)~21日(木)(予定)
2)「分散剤の選び方」、「濃厚系における分散凝集の評価法」、及び「粒子分散系のシミュレーション」の3つの講演を追加
この分野の研究・技術開発等でお困りの皆様の御参加を、心よりお待ち申し上げます。
12月7日(木) 【分散・凝集の基礎と考え方,および設計指針】
実用系ではインクや塗料だけにとどまらず、様々な応用分野で分散凝集制御と評価がキーとなっている。本講では、分散凝集現象の基礎理論から実用系での制御原理や評価法までの全体像について平易に解説することで、本講の後に続く色々な講演のイントロダクションの役目も果たしたい。分散凝集の初級者の方には各論に入る前の予習として位置づけて頂ければ幸いです。
疎液性粒子の分散・安定性に対するDLVO理論では、粒子分散系は準安定状態にあり、粒子の凝集は不可逆過程とみなされる。二つの粒子間のファンデルワールス引力と静電斥力をもとに分散系の安定性が評価される。ここで、ハマカー定数(凝集促進因子)とゼータ電位(分散促進因子)が本質的な役割を演じる。本講演では、DLVO理論の発展を振り返り、その現状と課題について解説する。
凝集エネルギー密度(CED)である、ハンセン溶解度パラメータは、物質間(高分子―高分子間、高分子―溶媒間など)の相溶性・親和性評価に用いられおり、微粒子の溶媒中での凝集・分散性評価にも応用されている。本講では、微粒子表面の溶解度パラメータを評価するために、ハンセン溶解球法を適用したいくつかの事例の紹介し、溶解度パラメータを応用した新しい材料開発について概説する。
産業界では粒子は水、油、エマルションまたは樹脂などの他成分と混合して利用する場合が多く、粒子分散は重要な技術となっている。また、あるがままの粒子では粒子表面で吸着や触媒反応などが起って混合系を劣化させるなどの悪影響を与える場合がある。このような場合には粒子を不活性化させ、望みの系に分散しやすい表面処理を行う。本講演では粒子にとって重要な粒子分散と表面処理の基本的な考え方と具体例について述べる。
塗料やインクなどの濃厚な固体粒子分散系では、大きなハマカー定数、異種電荷粒子の共存、夾雑イオンの存在などの理由で、高分子吸着による分散安定化が重要である。このための高分子と粒子との親和性の考え方や評価方法、分散剤分子設計について概説する。また、低表面張力粒子の水性系での分散では、水性媒体に対するぬれの確保が重要であり、このための着眼点を示す。
分散には分散の三要素(ぬれ、解きほぐし、安定化)という古いが実用的な考え方がある。これは凝集粒子を如何にぬらし、解きほぐし、そして解きほぐした状態を安定化するかを意味する。これを実行するには界面活性剤の基礎知識が必要になる。このセミナーでは粉体の物性、分散の三要素、それらを理解するための界面活性剤の基礎知識及びそれらの知識を応用し適切な分散剤を選定する簡易方法につき説明する。
分散系の安定性や凝集の状態を調べる上で、動的光散乱(DLS)法は装置も比較的安価で、操作も煩雑でないことから広く使用されている。しかし、同じ試料を測っても違う結果が出てしまったり、そもそも装置がブラックボックス的で何が測られているのか解りにくいといった側面がある。本講座ではDLSの基礎について、測定原理から、測定操作上のちょっとしたコツまで解説する。
講演者の経験が多い金属微粒子・ナノ粒子の合成法の詳細とそれら用いた電子部品や医療材料への応用に向けたペースト・インク化について解説する。研究室レベルの小規模のものから中規模サイズまでの手法についてこれまでの研究結果から解説し、微粒子濃厚分散系の構築について皆さんと議論したい。また、その分散系の解析法、微粒子の高温形状変化についても触れる。
高濃度な粒子分散系は擬塑性流動(シアシニング)やダイラタント流動(シアシックニング)などの特徴的な非ニュートン流動を示すが、これらの挙動が工業的なプロセスにおける生産性や品質に大きな影響を及ぼすことから、その制御指針が求められている。これらのレオロジー挙動を支配する液構造は、シリカなどの斥力系粒子の場合とカーボンなどの引力系粒子の場合によって異なることから、それぞれの特徴と制御指針について説明する。
乳化物の不安定性は界面の不安定性に帰結され、安定化を図るために乳化剤や高分子、粉体などが利用される。本講演では、乳化に関わる基本理論と考え方を概説し、最近の乳化技術動向や研究について紹介する。
粉体の油剤中への分散性の評価は、経験的・定性的なものが多い。特に化粧品用の紫外線散乱剤などの微粒子は、顕微鏡による観察すらもできない。そこで本セミナーでは、化粧品用微粒子の油剤への分散性を定量的に明らかにする手法について解説する。さらに、制御された微粒子分散系がもたらした新たな化粧品製剤に関する応用事例についても述べる。
実用分散系は、ペースト、スラリー、クリーム、インクなどそのほとんどが粒子や液滴濃度の高い系から成り立っている。そこでは、理論構築に良く用いられている希薄系に比べて粒子間距離が短いことに起因して粒子間相互作用が様々なかたちで強く影響している。したがって、実用系の評価法も自ずと粒子間相互作用をどのように扱うかが鍵となる。本講では、実用濃厚系に適用実績のある手法について、実例を取り上げながら平易に解説する。
粒子分散系から機能材料を作製するプロセスでは、分散、塗布、乾燥の各操作により粒子の高次構造の形成・破壊が誘起され、操作効率と最終的な材料性能に反映される。構造を制御するためには、流動・乾燥という外場が駆動する動的な分散・凝集のメカニズムを理解する必要があり、流体中の粒子運動を解析する数値シミュレーションが有効な手段となる。数値シミュレーションの概要と、それを用いて得てきた知見を解説する。
【参加費】
部会員30,000 円、日本化学会会員35,000 円、協賛学会員35,000円、
非会員40,000 円、学生(部会員) 8,000 円、学生(非会員) 10,000 円
※参加費は全て税込価格となります。
※いずれも要旨集代込みとなります。
※ご勤務先が法人部会員の場合は部会員、日本化学会法人会員の場合は日本化学会会員、協賛学会法人会員の場合は協賛学会員扱いとなります。
※定員になり次第、お申込みを締め切らせていただきます。
※本講座のPeatixチケットは譲渡不可となります。
※11月27日(月)以降のお申込みつきましては、講座終了後の要旨集発送となる場合があります。予めご了承ください。
参加ご希望の方は、申込みフォームよりお申込み下さい。
https://csjcolloid202312.peatix.com
※これら収納を株式会社ソウブン・ドットコムに委託しており、受付システムはPeatixを利用しております。
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※要旨集の事前送付受付に期限(11/27)がありますので、お早めにお申し込みください。
日本化学会 コロイドおよび界面化学部会
E-mail jigyoukikaku_03@colloid.csj.jp