公益社団法人日本化学会 : コロイドおよび界面化学部会

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第40回コロイド・界面技術シンポジウム「コロイド界面化学が叶える、持続可能な社会~ミクロな一歩で マクロに貢献~」 2022.11.24

主催:日本化学会 コロイドおよび界面化学部会
協賛:(1月4日現在)応用物理学会、界面動電現象研究会、化学工学会、高分子学会、色材協会、筑波大学生物資源コロイド工学リサーチユニット、電気化学会、土壌物理学会、日本感性工学会、日本金属学会、日本化粧品技術者会、日本生物物理学会、日本生物工学会、日本接着学会、日本トライボロジー学会、日本人間工学会、日本表面真空学会、日本粉体工業技術協会、日本膜学会、日本油化学会、日本レオロジー学会、粉体工学会

日程:2023年1月26日(木)・27日(金) オンライン(ZOOM)にて開催

会告(更新) 会告 (PDF)

【趣旨】
コロナによってこれまでの当たり前が当たり前でなくなり、消費者の生活や価値観、社会の在り方など大きく世の中の価値観が変化してきました。
そんな中、サステナブルな社会の実現に向けて持続可能な開発目標「SDGs」を掲げ、各社それぞれ取り組んでいます。
しかしながら1企業・1業種で本当に解決できることなのか?日本全体・グローバルで取り組むべきではないか?という疑問であったり、どういった切り口で取り組めば良いのか?今まで関わりがない領域のパートナーがどこにいるのか?といった悩みも多いのが現状です。
そこで今回は、コロイド・界面化学を中心としたミクロな視点からサステナビリティに関する様々な研究活動を取り上げ、多様な技術によるアプローチに気付くきっかけや、産官学や企業間、業種間での連携の一助になるべく開催致します。
1日目は界面コロイド化学を活用したサステナブルな素材製剤開発に関する研究事例のご紹介
2日目はサステナブル社会を目指した多様な視点・アプローチに関する研究事例のご紹介
について取り上げます。
ぜひ化粧品・日用品・食品などをはじめ各業界においても「競争から協調へ」と視点を切り替え、未来をともに創造していきましょう。

プログラム 第1日目:1月26日(木)
8:55~9:00 主査挨拶:企画説明
【界面コロイド化学を活用したサステナブルな素材製剤開発】

9:00~10:00
「花王の環境対応包装容器への取り組み ~プラスチック容器リサイクルの取り組み~」
 花王株式会社 包装技術研究所 所長 岩坪 貢氏
概要:花王の新しいESG戦略であるKirei Lifestyle Planの考えを共有し、主にプラスチック製容器包装にフォーカスしたこれまでの環境対応取り組み例を、リデュースイノベーションとして、環境面でボトル容器よりも優位性のあるフィルムタイプ容器の開発取組みについて発表すると同時に、リサイクルイノベーションとして、フィルム容器の水平リサイクルへの取組みについて発表する。

10:10~11:10
「産総研”資源循環利用技術研究ラボ”における機能性バイオプラスチック合成に向けた取り組み ~その特異な力学特性や両親媒性について~」
 国立研究開発法人 産業技術総合研究所
 材料・化学領域 触媒化学融合研究センター 研究センター長 吉田 勝氏
概要:産業技術総合研究所では、2020年度に「資源循環利用技術研究ラボ」を立ち上げ、資源の枯渇や環境問題の解決に向けて、産業発展と環境保全を両立させた資源循環型社会、すなわち、環境問題の原因となる排出物質や廃棄物を資源として再利用し、持続可能な消費と再生の循環を実現するための技術開発を行っている。本講演では、それらの技術開発の中から、特異な力学特性や両親媒性を有する機能性バイオプラスチックに関する研究成果をご紹介する。

11:20~12:20
「微生物産生型生分解性バイオポリマーと炭素循環システム構築への取り組み」
 株式会社カネカ Global Open Innovation企画部 福田 竜司氏
概要:脱炭素社会に貢献する素材としてバイオプラスチックへの期待が高まっている。カネカ生分解性バイオポリマーGreen Planetは植物油から微生物が産生するバイオマスポリマーである。プラスチックと同様に成形加工でき、使用後、コンポストや嫌気環境、土壌、海水等での生分解を通じ、二酸化炭素を介した炭素循環が構築できる。本セミナーでは、バイオプラスチックの概要、Green Planetの特徴を紹介し、炭素循環システム構築について提案する。

(昼食12:20~13:20)

13:20~14:20
「サステナブル成分の効果最大化への挑戦 ~ヒアルロン酸のシェイプシフティング技術~」
 株式会社資生堂 グローバルイノベーションセンター
 みらい開発研究所 シーズ開発センター 藤井 美佳氏
概要:近年化粧品領域では、ナチュラル・サステナブル成分の需要が急激に増加している。ヒアルロン酸 (HA) は高い保湿効果に加え、皮内における様々な生理活性が知られており、正にサステナブルな有効成分と言える。しかし、分子量が極めて大きいことから皮膚に浸透しにくく、皮内のターゲット部位まで届けて効果を発揮させる上では多くの課題がある。本講演では、HA本来の効果を損なうことなく、肌に浸透させるための新技術について紹介する。

14:30~15:30
「 我々が構造色を利用するには? ~自然から学ぶ構造色~」
 名古屋大学大学院 工学研究科 物質制御工学専攻 准教授 竹岡 敬和氏
概要:構造発色性材料の構築には、特定の分子構造を有する化合物を要しないことから、安全で安価な物質群の中から適切なものを選んで、色材を調製できる。自然界における構造発色性材料の存在感と有益性を認識すれば、我々の生活にも構造発色性材料が色材として役立つことに疑念を抱かないだろう。当日は、自然界において多用されている構造発色性材料を人類が利用するために必要な条件を議論できればと思っている。

15:40~16:40
「次世代界面活性剤の開発」
 奈良女子大学 研究院自然科学系化学領域 教授 吉村 倫一氏
概要:界面活性剤は界面吸着と会合体形成の2大物性を活かして、さまざまな製品や工業分野に使用されている。近年では、環境負荷低減および高性能・高機能化を目指した新規界面活性剤の創製に関する研究が行われている。本講演では、我々が最近開発したアミノ酸-糖ハイブリッド界面活性剤やヒドロキシ基を含むアシルアミノ酸系界面活性剤の分子設計・合成、界面吸着と会合体形成の2大物性、泡沫特性について紹介する。

16:50~17:50
「乳化剤・乳化技術の最新トレンド ~海外の未利用資源・天然資源に迫る~」
 筑波大学 生命環境系 准教授 マルコス ネヴェス氏
概要:世界人口の急増、ライフスタイルの変化および健康への懸念により、食生産チェーンの規模を拡大しながら安全性と品質を確保するための新しい戦略が求められている。本講演では、北アフリカおよび東南アジア地域の植物資源から得られる機能性成分に関する研究を紹介するとともに、カンボジア産ハーブ抽出物の乳化能と安定化メカニズム、カルバクロールなどの天然抗菌化合物をナノエマルジョンにカプセル化する技術について解説する。

プログラム 第2日目:1月27日(金)
【サステナブル社会を目指した多様な視点・アプローチ】

9:30~10:40【基調講演】
「バイオミメティクスからエコミメティクスへ 〜人新世におけるパラダイムシフト~」
 公立千歳科学技術大学 理工学部 応用化学生物学科 特任教授 下村 政嗣氏
概要:現行のバイオミメティクスは、分子レベルの材料設計から機械、情報、建築、都市工学に至る幅広い分野に広がっているものの、個々の生物の模倣に留まっている。バイオミメティクスの手本である生物多様性は、複雑系システムである生態系において成り立っている。自然共生に向けたNature based Solutionsとしてバイオミメティクスが持続可能な農業や街づくりに貢献するためには、生態系システムの模倣である“エコミメティクス”が求められる。

10:50~11:50
「蛾の眼の構造はこんなにも機能性があるんです ~バイオミメティクス材料の開発~」
 三菱ケミカル株式会社 Science & Innovation Center R&Dフェロー 魚津 吉弘氏
概要:モスアイ型反射防止フィルムは蛾の眼を模倣したバイオミメティクス材料であり、表面に微小突起構造を形成したフィルムである。優れた反射防止機能を有するのであるが、その他のバイオミメティック表面と同様に複数の機能を示す。近年、超撥水性、超親水性、昆虫滑落特性、抗菌特性などが報告されてきた。昨今もその構造に起因する新たな機能が発見されており、その多機能性に関して解説する。

(昼食 11:50~12:50)

12:50~13:50
「核酸医薬を低侵襲的に届けるリポソーム製剤の開発に向けて ~患者にやさしいサステナブルコロイドテクノロジー~」
 東京薬科大学 薬学部 医療薬物薬学科 創剤科学教室 准教授 高島 由季氏
概要:リポソームは、COVID-19ワクチンや標的化抗がん剤の送達キャリアとして実用化されている。コロイドの力はヒトの健康を守るための持続的発展に役立てるための技術(サステナブルコロイドテクノロジー)の一つであり、より機能性を高めることで、副作用の低減、QOLの向上、難治性疾患等に対する予防・治療効果の向上が期待される。本講座では、点眼や経皮など身体的精神的負担なく投与できる核酸医薬品の設計について紹介する。

14:00~15:00
「表面・界面化学からみたマイクロプラスチック」
 九州大学 ネガティブエミッションテクノロジー研究センター 特任教授 高原 淳氏
概要:高分子の使用量が増えるにつれ,環境中に廃棄物が流出して生成したマイクロプラスチック(MP)が深刻な問題になっている。本講演ではMP生成の背景にある高分子の表面・界面化学,海洋で採取されたMPを中心にその特性解析,その結果に基づくMP生成のモデル実験について解説する。

15:10~16:10
「フロッキュレーション解析に基づく環境界面工学の創生と展開」
 筑波大学 生命環境系 環境コロイド界面工学研究室 教授 足立 泰久氏
概要:コロイド粒子の凝集現象(フロック化)に着目し、凝集速度論やフロックの構造形成に基づく解析を実施することによって、多岐に渡る界面現象が関与する環境中の物質動態(水文学的移動や力学特性)とそのダイナミクスに係る本質的支配因子をとらえた体系的思考が可能となるような論理的枠組みを構築が可能となる。また、その枠組みに基づく考察をいくつか行い、その工学的な有効性を解説する。

16:20~17:20
「“機械学習”×”分子シミュレーション”でもう実験は不要? ~in silicoの活用によるサステナブルな素材開発に向けて~」
 慶應義塾大学 理工学部 機械工学科 准教授 荒井 規允氏
概要:様々な分野で機械学習によるアプローチが広がる中、材料科学分野への活用(マテリアルズ・インフォマティクス, MI)は10年以上前から検討されており、特に産業界から強く関心を向けられている。本講演では,ソフトマター材料に対し、機械学習と分子シミュレーションを組み合わせ、その物性や機能性の予測に挑戦したいくつかの研究例を紹介する。さらに,ソフトマター材料に対するMIの困難さに加え、今後の展望について述べる。

【参加費】
部会員 25,000円、日本化学会・協賛学会員 30,000円、
非会員 35,000円、学生(部会員) 6,000円、学生(非会員) 10,000円
※参加費は全て税込価格となります。
※ご勤務先が法人部会員の場合は部会員、日本化学会法人会員の場合は日本化学会員、協賛学会法人会員の場合は協賛学会員扱いとなります。
※協賛学会はウェブサイト、下記申込みフォームよりご確認ください。

【お申込方法】
参加ご希望の方は、申込みフォームよりお申込みください。
参加費の収納業務を(株)ソウブン・ドットコムに委託しており、受付システムはPeatixを利用しております。
https://csjcolloid202301.peatix.com

【参加費のお支払い】
Peatixによる決済方法(クレジットカード、コンビニ決済等)をお使いください。
Peatixでのお支払い方法をご利用になれない場合等はお問合せ窓口へメールでご連絡ください。

【お問合せ】
日本化学会 コロイドおよび界面化学部会
E-mail: jigyoukikaku_01(at-mark)colloid.csj.jp
※「(at-mark)」は半角の「@」へ変更してください。

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