公益社団法人日本化学会 : コロイドおよび界面化学部会

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第39回コロイド・界面技術シンポジウム「感性を揺るがす界面化学:感覚の視覚化、感性工学の最先端」 2021.12.06

主催:日本化学会 コロイドおよび界面化学部会
協賛:(申請中を含む)エレクトロニクス実装学会、ナノ・バイオメディカル学会、プリンテッドエレクトロニクス研究会、応用物理学会、化学工学会、高分子学会、色材協会、電気化学会、日本トライボロジー学会、日本レオロジー学会、日本顔学会、日本感性工学会、日本化粧品技術者会、日本金属学会、日本香粧品学会、日本生物工学会、日本接着学会、日本人間工学会、日本熱測定学会、日本農芸化学会、日本表面真空学会、日本粉体工業技術協会、日本膜学会、日本薬剤学会、日本油化学会、粉体工学会
日程:2022年1月27日(木)・28日(金) オンライン(ZOOM)にて開催
会告:PDFファイル(改訂版)

【趣旨】商品開発において、従来の「高機能」「高信頼性(品質)」「価格」の3つの価値軸の他、新しい第四の軸として「感性価値」の重要性が示され、消費者の購買意欲をそそるデザインや触り心地、香り、味覚、音質など五感に訴えるに加え、印象や感情まで着目した“感性に訴える”モノづくりが求められるようになりました。さらに、コロナ禍後の急速なリアルとバーチャルの融合により、バーチャルでリアルの感覚を伝える必然性が高まり、感性工学や人間工学分野で、五感を“可視化”する感覚計測や評価技術の研究が日々進化しています。また、その技術を応用し、消費者の感性に着目した商品開発への応用が多くの分野で進んでおり、その過程において泡、エマルション、分散微粒子、固体表面などナノからマイクロまでのコロイド界面の制御によって、感性を揺るがす製剤開発が化粧品、食品、日用品等で行われています。
本セミナーでは、最近の五感の可視化、感性・感覚の定量化に関する研究例と、コロイド分野に関係する感性工学や人間工学を導入した商品開発の実践例を紹介し、進化する技術とコロイド界面化学とのシナジーをどう製品に活用するかのアイデアを提案します。

プログラム 第1日目:1月27日(木)
9:25~9:30 主査挨拶:企画説明

【感性を可視化する最先端の研究】
9:30~10:40 「脳を見える化する~感情の可視化と脳を用いた研究~」
       慶應義塾大学 理工学部システムデザイン工学科 教授 満倉 靖恵氏
 脳を知りたい、という欲求に対してこれまでにも多くの研究が行われている。我々は特に脳波に注目し、脳波から気持ち(感情)の変化に伴って脳の頭皮上に現れる脳波の変化をリアルタイムで捉え、それを可視化する世界初の感性のリアルタイム可視化装置”感性アナライザ”を開発し、数多くの研究に展開してきた。並行して脳波にはノイズが多く乗る問題を解決すべくリアルタイムノイズ除去にも力を入れることであらゆる状況で感情を認識できるようになった。本講演では動物実験を用いた最新情報を入れつつ、これまでに行ってきたリアルタイムで感情の見える化できる装置の詳細と社会実装について紹介する。

10:50~12:00 「しっとり感の科学」
       山形大学 工学部バイオ化学工学科 教授 野々村 美宗氏
 しっとり、さらさら、べたべた等の触感は、衣料・化粧品・自動車・情報機器・ロボットなど、あらゆるアイテムの魅力を高めるうえで重要である。わたしたちはこれまでに、皮膚の表面で起こる界面現象、特に摩擦に着目し、ヒト指のモデルと滑らかで自然な動きを再現した触覚センシングシステムを開発した。さらに、このシステムを用いて「しっとり」「さらさら」等の触覚の発現メカニズムを解析、商品設計に応用してきたので、その実例を紹介する。

  昼 食(12:00-13:00)

13:00~14:10 「味と匂いが可視化された世界」
       九州大学 高等研究院 特別主幹教授 都甲 潔氏
 味覚と嗅覚は細胞を覆う受容膜が化学物質を受容して生じる感覚である。つまり受容膜と水の界面が化学物質を受容する舞台である。近年、この受容膜ならびに味や匂いの認識機構を模倣することで、味と匂いを可視化するセンサが研究開発され、特に味覚センサについては既に実用化され全世界で使われている。味覚センサは、食品や医薬品の味を数値化するのみならず、個人嗜好の顕在化をも可能としている。他方、匂いセンサは昨今のAIの発展を利用した形で研究開発が進められ、ワイン種の香りや電線の焦げ臭等の識別が可能となっている。講演では、これら味と匂いのセンサの現状と今後の展望を紹介する。

14:20~15:30 「視覚情報によって誘発されるクロスモーダル効果」
      横浜国立大学 大学院環境情報研究院 社会環境と情報部門 教授 岡嶋 克典氏
 視覚情報が他の感覚(聴覚,触覚,味覚,身体運動感覚)に及ぼす様々なクロスモーダル効果について、特に、食品を対象とした視覚による食感や味覚の変調効果に関する研究事例を紹介し、それらの諸特性やメカニズムについて説明する。また、クロスモーダル研究における仮想現実感(VR)ならびに拡張現実感(AR) 技術の重要性と、デバイス限界を超越できる可能性を秘めたクロスモーダルインタフェースの将来展望についても言及する。

15:40~17:10【基調講演】「感性を活かしたモノづくり:感性工学」
       信州大学 繊維学部先進繊維・感性工学科 教授 上條 正義氏
 感性工学は、人と人とが対話により相互理解し、人々の合意に基づいたモノづくりを実現するための支援技術である。そして、人と人とが共創してモノづくりを行うプロセス(経験)に価値があることを顕在化させる。共創は、情報、時間、場所の共有し、自己と他者との交流によってモノを創造するプロセスであり、共創体験は、創り出されたモノだけでなく、モノを創り出す経験に愛着という心の豊かさに関わる価値を生み出す。本講演では、感性工学についての基本的な考え方を紹介し、感性計測評価に基づいたモノづくりに関する研究事例を紹介する。

プログラム 第2日目:1月28日(金)
【感覚計測・評価技術の進歩とその応用】

9:00~10:10 「AI・ビッグデータによる感性評価技術」
       関西学院大学 工学部情報工学課程 教授 長田 典子氏
 豊かで持続可能な社会の実現 (SDGs)には、質的な発展が不可欠である。Society 5.0がめざす人間中心の「創造社会」の実現においても、心の豊かさをもたらす新しい科学技術が重要になっている。生活シーンでのわくわく感や快適感、また製品の高級感や特別感といった人の感じ方を定量化し、製品設計に役立つ客観的なものさし(メトリック)を作る感性評価技術の研究を、多くの先進企業と連携をとりながら進めている。講演では、具体的な共同研究事例を紹介しながら、心理統計学、深層学習、データマイニング等を用いた感性評価技術とその応用方法について述べる。

10:20~11:30 「“感動”の指数化と商品開発への展開」
       金沢工業大学 情報フロンティア学部心理科学科 教授 神宮 英夫氏
 私たちがものやことと接した時に感じる、“何となく”の心の動きを見える化するために、生体機能測定結果と曲線描画法の結果とから指数化して、食品や化粧品などの商品開発へ適用するための試みを紹介する。よりお客様の心を動かくものづくりやことづくりを目指して、“感動”指数を提案している。芸術祭や結婚披露宴での“感動”、TVCMの“感動”など、指数化による改善の事例も紹介する。

  昼 食(11:30-12:30)

12:30~13:40 「パンダがかわいいのはなぜかー「縦長の目」におけるタレ目の研究・他」
       立命館大学 総合心理学部 教授 北岡 明佳氏
 錯視研究のおもしろネタを、いろいろ紹介する。タイトルにある「パンダがかわいいのはなぜか―「縦長の目」におけるタレ目の研究」は、2020年の日本顔学会で発表した顔の錯視の考察である。そのほか、色の錯視、運動の錯視、幾何学的錯視(形の次元の錯視)、立体視の錯視などを幅広く紹介する。自分で作れる錯視のウェブプログラムの解説も行う。

13:50~15:00 「顔を通した魅力表現の可能性~認知心理学分野における研究のご紹介」
       花王株式会社 感覚科学研究所 三枝 千尋氏
 本発表では顔の魅力知覚に関する心理学分野での知見を概観した上で、演者らのこれまでの研究から、顔の魅力判断過程における顔の魅力を構成する顔関連情報の変化と、そのプロセスに対する社会的な手がかりの影響を検討した結果を紹介する。さらにアート分野との協働による顔を通した魅力表現の可能性について論じる。

15:10~16:20 「触感センサによる実使用場面を反映した使用感触の客観評価」
       株式会社資生堂 みらい開発研究所 齋藤 直輝氏
 化粧品の使用感触に、塗布対象である肌が影響を及ぼすことは経験的に知られていたものの、頬など肌の上で安定に測定する手段がなかったため詳細は不明であった。そこで実際の肌上で塗布中に生じる振動と摩擦を同時に計測可能な触感センサを開発した。本発表では、触感センサを用いてスキンケア処方の物理特性を可視化した結果と、肌状態が使用感触に及ぼす影響について調べた結果を紹介する。

16:30~17:40 「化粧品研究における分子感性工学の必要性について」
       日本ロレアル株式会社 リサーチ&イノベーションセンター 中尾 好子氏
 化粧品とのインターラクションによって消費者に誘起される情動(センサリーエクスペリエンス)を理解するための方法の多くは物理的性質の測定によるものである。物理的性質は分子レベルで起こる現象に基づいているが、これが情動にどのように働くかの研究はあまり進んでいない。本発表では、消費者の感性インプットを物理的に測定し、さらに分子レベルにブレークダウンすると言う分子感性工学について紹介する。

参加費
2日とも参加
部会員25,000円 日化・協賛学会員30,000円 非会員35,000円 学生(部会員)6,000円 学生(非会員)10,000円
1日のみ参加
部会員15,000円 日化・協賛学会員18,000円 非会員20,000円 学生(部会員)4,000円 学生(非会員)6,000円
※ご勤務先が法人部会員の場合は部会員、日本化学会法人会員の場合は日本化学会会員、
 協賛学会法人会員の場合は協賛学会員扱いとなります。
※協賛学会はウェブサイト、下記申込みフォームよりご確認下さい。

お申込方法
参加ご希望の方は、申込みフォームよりお申込み下さい。
これら収納を創文印刷工業㈱に委託しており、受付システムはPeatixを利用しております。
<2日間>
https://39th-sympo-2days.peatix.com
<1/27のみ>
https://39th-sympo-0127.peatix.com
<1/28のみ>
https://39th-sympo-0128.peatix.com

参加費のお支払い
Peatixによる決済方法(クレジットカード、コンビニ決済等)をお使い下さい。
Peatixでのお支払い方法をご利用になれない場合等は、問合せ窓口へメールでご連絡下さい。
要旨集の事前送付受付に期限(1/19)がありますので、お早めにお申し込みください。

お問い合わせ
日本化学会 コロイドおよび界面化学部会
E-mail jigyoukikaku_01@colloid.csj.jp

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